2017 Fiscal Year Annual Research Report
Teachers Arrested at the Turning Red Event in Nagano Prefecture
Project/Area Number |
15K04254
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
前田 一男 立教大学, 文学部, 教授 (30192743)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 教員赤化事件 / 二・四事件 / 大正自由教育 / 信濃教育会 / 1930年代 / 満蒙開拓青少年義勇軍 / 永明小学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究実績として、研究報告書『1930年代『教員赤化事件(「二・四事件」)』の研究 ―『裁判記録』を通して ―』(371頁)を作成した。 その内容は,従来発掘されていない新資料である裁判記録を全文翻刻して掲載した。これによって研究資料として広く公開していくことが可能となった。「二・四事件」から85年を経て関係者がほとんど鬼籍に入ってしまった現在,治安維持法下での教師たちの取組みがどのようなものであったのか,その実践がいかに裁かれたのかについて,そのありようをリアルに考察することができる文書記録であり,その資料的価値は高いと考えられる。 また,『裁判記録』の資料的性格や,裁判記録に取り上げられている6名の人物について,個別研究を積み重ねた。そのことで,「二・四事件」の全体像に迫っていこうとした。治安維持法下での裁判手続き,裁判記録の内容分析,それを通じた「二・四事件」研究へのアプローチを意識した解説論文に取り組んだ。 さらに「二・四事件」についてはマスコミ報道が世論形成に大きな影響を与えていることから,新聞各紙の関係記事に注目した。特に1933年9月15日の「二・四事件」記事解禁直後の3紙(『信濃毎日新聞』『報知新聞』『長野新聞』)を取り上げ,掲載された記事すべてを翻刻した。また,「二・四事件」裁判関係記事について,『信濃毎日新聞』に限定して悉皆調査し,裁判関係の記事すべてを本報告書に翻刻した。裁判記録分析の補完資料となると同時に,報道内容の分析によって,「二・四事件」の教育界に及ぼした影響力を検討する資料ともなると思われる。 最後に,先に発表した「長野県教員赤化事件(「二・四事件」)に関する研究(1)―1930年代教育史像の再構築のための研究視角―」(『立教大学教育学科研究年報』第60号所収 2017年)に加筆を施した論文を収録した。
|