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2015 Fiscal Year Research-status Report

現代ドイツにおける美的・感性的教育論の新展開

Research Project

Project/Area Number 15K04271
Research InstitutionUniversity of East Asia

Principal Investigator

清永 修全  東亜大学, 芸術学部, 教授 (00609654)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords「美的・感性的合理性」の理念 / 「美的・感性的教育」の正統化をめぐる理論的努力 / ドイツ教育改革と芸術教科 / 芸術教科のスタンダード化とコンピテンシー指向 / カール・ヨーゼフ・パッツィーニ / グンター・オットー / 旧東独の「美的・感性的教育」の伝統と現在 / ベルリンとザクセンにおける芸術科学習指導要領
Outline of Annual Research Achievements

平成27年度は、①まず現代ドイツにおける芸術教育学の潮流を準備したグンター・オットーの80年代末から晩年にかけての構想である「美的・感性的合理性」と、それに基づく「美的・感性的教育」の正統化をめぐる理論的努力の理解に取り組んだほか、②現行の教育改革と平行してなされつつあるスタンダード化、わけてもコンピテンシー指向の授業をめぐる議論にも目配せをしつつ、③精神分析の領域から芸術教育の問題について果敢に発言を続ける異色の研究者として知られるカール・ヨーゼフ・パッツィーニが20年におよぶこれまでの研究の集大成として執筆した著書『Bildung vor Bildern, Kunst-Paedagogik-Psychoanalyse』が9月に出版されたのを契機に、その理解と分析にも取り組んだ。④更に現代の7大潮流の一つに数えられる「美的・感性的探求(Aesthetische Forschung)」の概要の理解に努めた。⑤これらを受けて、2016年3月1日から10日にかけてドイツを訪れ、「美的・感性的教育」の動向をさぐるべく論者や研究機関、実験的かつ意欲な新しい取り組みで知られる学校をベルリンやライプツィッヒに訪ね歩き、視察をするとともに、意見交換を行った。その際訪れたのは、カール・ヨーゼフ・パッツィーニ教授(ベルリン)、フランク・シュルツ教授(ライプツィッヒ大学)、キアステン・ヴィンダリッヒ教授(ベルリン芸術大学)、シュテファン・ヴァーナー(ピカソ基礎学校)、ルッツ・リーンケ氏(ドイツ芸術教員連盟ベルリン支部元理事)らである。その際、ベルリンとザクセン州の芸術科の学習指導要領の改訂と現代の潮流との関係について立ち入った議論をした。⑥なお、この訪問の成果をまとめるべく現在大学紀要に訪問記を執筆中であるほか、パッツィーニ教授とのインタビューも準備中である(平成28年度9月発行予定)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現代ドイツにおける美的・感性的教育理論の起点ともいえるグンター・オットーの晩年の理論的営みを整理し、その一方でアネッテ・フランケの2007年の著書『美的・感性的教育のアクチュアルな諸コンセプト』を手引きとしつつ、近年の理論的な営みの展開についての外観を理解した他、その一方で現地での聞き取り調査なども行いながら、現行の教育改革を契機に起こってきている制度的展開とそれに伴う理論的営みの把握にも努めるなど、初年度に考えていたステップの大半の課題はこなすことができたと考えている。難をいえば、マーティン・ゼールをはじめとする現代美学理論をめぐる論争とその把握にまでは手が回らなかったことであろう。しかし、これについては、平成28年度の研究の中で補えると考えている。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度には、まずパッツィーニ教授の著書『Bildung vor Bildern, Kunst-Paedagogik-Psychoanalyse』の分析と評価を書評としてまとめるところから始めたい。ついで、現代の美的・感性的教育の潮流の一つをかたちづくっているピエランジェロ・マセによる「差異として美的・感性的教育」の構想の理解について取り組むつもりである。その上で、2017年3月には、同教授を訪れ、意見交換をするほか、その成果をインタビューおよび報告書の形でまとめ、大学紀要において発表したい。

Causes of Carryover

海外調査用に見込んでいた額に対し、実際にかかった費用が思いのほか少なく済んだことと、必要な資料や文献の海外への発注作業に時間が掛かり、在庫等の問題も加わって、必ずしも計画した全ての物件を購入することができなかったことがその主たる理由である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度には、上記の資料や文献の発注作業に早くから取り込むことで、使い切ることができるよう取り組むほか、海外調査にあたっても、調査訪問機関を増やすなどすることで対処していきたいと考えている。

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Published: 2017-01-06  

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