2015 Fiscal Year Research-status Report
多言語環境に育つ子どもの言語発達の視点から見る幼児教育の日独比較
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15K04280
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
立花 有希 宇都宮大学, 国際学部, 講師 (60736198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 あおい 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00343260)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多言語 / 言語発達 / 就学前教育 / ドイツ / 幼小連携 / 学習言語 / 移民背景 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツで幼児期に行われている言語発達調査の制度的概要について先行研究を基に各州比較し、そのうちのいくつかの調査方法については具体的内容に関する分析にも着手した。また、研究代表者と研究分担者の二人でドイツ調査を実施した。それらの結果、各州での取組には独自性、個別性が強く現れていることが確認された。同時に、いずれの州でも幼小連携に関わる取組が重視されていることが判明した。ヘッセン州の例を挙げれば、0歳児から10歳児の教育計画を策定し、教育の理念・内容・方法に対する一貫した共通理解を目指しており、その実現のために文部省の担当者を中心として種々の研修等が行われている現状を確認している。また、就学前言語教育の改善に向けた取組は、プロジェクト主導のものが多く、言語学・認知心理学・教育学等の研究者が積極的に関与している実際についても情報を得た。 ドイツ現地調査での教育学研究者へのインタビューにおいては、幼児期の教育の中で学校でのことばの問題をより意識的に組み込んでいる今日的状況についての説明を受け、先駆的な取組が見られる州や教材の紹介を得た。 以上のドイツに関する調査研究から、日本への応用可能性について、研究者会議での議論を重ねた。ドイツにおける幼児期の言語発達調査やそれに基づく言語教育が多様であるのは、その子どもがある状況の多様性、教員や教材等の利用可能な教育資源の多様性、就学期の発達確認において重視される項目の多様性などを反映した結果であるともいえる。これらの分析は、日本の現状に照らして、求められる取組の中で優先度が高いものを選定する際の枠組みを与えてくれると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツ調査に関しては、当初の計画以上に進展している。国内調査に関して、協力先を得る見通しが難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
国内調査での研究協力者を得られる見通しである。拡大研究者会議を開催して、国内調査の具体化、精緻化、実施につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
ドイツの事例分析に集中したこと、国内調査の協力先を得るのに難航したことにより、国内での調査に関わる謝金や物品購入等が次年度に繰り越されてしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内調査での研究協力者への謝金、就学前言語発達調査キットの試験的開発のための物品購入に使用する。
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Research Products
(1 results)