2016 Fiscal Year Research-status Report
幼児期のリテラシー獲得を支える保育評価スケールの開発と検証
Project/Area Number |
15K04303
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松本 博雄 香川大学, 教育学部, 准教授 (20352883)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常田 美穂 (松本美穂) 香川短期大学, その他部局等, 講師(移行) (80711499) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
|
Keywords | 文字 / 幼児 / リテラシー / 保育 / 信念 / 指導観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、就学前教育(保育)実践がが幼児期から学童期のリテラシー(Literacy:読み書き能力)発達に与える影響を明らかにするというねらいのもとで、その一次資料となる、幼児期の初期リテラシー獲得を支える保育実践の質を評価するスケールを開発することである。本年度はこの目的をふまえ、昨年度に作成した初期リテラシーに関する保育者の実践観を捉える尺度をさらにブラッシュアップするとともに、それらの実践観を支える背景要因について検討した。保育士・幼稚園教諭・小学校教諭のべ346名に対する調査結果を探索的因子分析(最尤法)により分析したところ、リテラシー発達に関わる具体的な指導観についてはDirect instruction:直接型指導観 / Natural development:受動型指導観 / Social interaction:対話型指導観の3因子構造、その基盤となる指導観一般についてはAdult-centered:強制型指導観 / Child-centered:共有型指導観の2因子構造がそれぞれ推定された。両者の関係について、強制型指導観に関して、直接教示型との間に正の相関、受動型との間に負の相関が確認された。また共有型指導観に関し、社会・生活基盤型指導観との間に正の相関が確認された。このことから、1)の各タイプは2)の一般的指導観を反映していることが示唆された。さらに所属園が特定できる参加者253名のデータについての級内相関を参照した結果、1)の指導観の形成に影響を与える要因として、経験年数やクラス担任か否か等の個人的な属性だけではなく、園ごとで保持されている共有された指導観の影響をふまえる必要があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、文字を用いる表現活動への参加機会の提供を指標とする、就学前教育実践の質評価スケールの開発について、1)保育者対象アンケートに基づく、リテラシー発達に関する指導観の特徴把握、2)就学前教育実践の観察に基づく、文字を用いる表現活動に関連する指導傾向の特定、の順で進めることを計画している。研究2年次である本年度に1)をおおむね終え、その成果をふまえて2)に移行できる見通しであり、進捗状況はほぼ予定通りである。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究にて作成した尺度をスクリーニングツールとして用いて、幼稚園・保育所5歳児クラスを中心に観察調査を実施する。目的は1)就学前教育実践における文字を用いる表現活動に関連する指導傾向を把握・検討すること、2)既存の保育評価スケールとの関連性を検討すること、の2点である。また、本研究で収集したデータを国外の研究者と共同検討する機会を設ける。具体的には1)関連国際学会 (United Kingdom Literacy Association 53rd International Conference)での報告、2)台湾国立嘉義大学の研究者と連携しての国際比較データ収集、の2点である。
|
Causes of Carryover |
初年次の交付内定が11月であったことで、執行のペースに遅れが生じたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)保育所ならびに幼稚園での調査およびデータ収集・分析に関わる費用(分析用機材・消耗品・謝金等)、2)関連学会(国外/国内)での報告費用(発表費・旅費)、3)論文作成のための費用(関連文献費・資料収集旅費・英文校閲費)が主な支出となる
|
Research Products
(7 results)