2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development and Validation of the Scale for Assessment of Early Childhood Literacy Education
Project/Area Number |
15K04303
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松本 博雄 香川大学, 教育学部, 准教授 (20352883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常田 美穂 (松本美穂) 香川短期大学, その他部局等, 講師(移行) (80711499) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | リテラシー / 幼児 / 文字 / 保育 / 就学前教育 / 信念 / 指導観 / 保育者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、就学前教育(保育)実践が幼児期から学童期のリテラシー(Literacy:読み書き能力)発達に与える影響を明らかにするというねらいのもとで、リテラシー指導に関わる保育実践の質評価スケールを開発することであった。この目的をふまえ、初期リテラシーに関する保育者の実践観を捉える尺度を開発したうえで、それを支える背景要因について検討した。保育士・幼稚園教諭・小学校教諭のべ394名に対する調査結果から、リテラシー発達を支える指導観として、直接型・受動型・対話型の3因子が見いだされた。これらの指導観と、保育者側の属性との関係を分析した結果、1)担任保育者は受動型の傾向が比較的強く、管理職は直接もしくは対話型の傾向が見られること、2)保育経験年数が少ない保育者は受動型が、経験年数が多い保育者は対話型が多く、直接型は経験年数によらないこと、等が明らかになった。さらに所属が特定できる253名(17施設)の級内相関を参照した結果、指導観の形成に影響を与える要因として、経験年数やクラス担任か否か等の個人的な属性だけではなく、園ごとで保持されている共有された指導観の影響が示唆された。 子どもの心情・意欲・態度の総合的な形成を主とした記述である保育所保育指針・幼稚園教育要領では、リテラシーに関わる内容はその一部を占めるにすぎない。いっぽうで、各施設ではリテラシーに関する多様な指導方針が存在する。経験の浅い担任保育者に、リテラシー指導の方針をそれほど明確に有していない受動型の傾向が強かったこと、管理職の指導観の様相や級内相関の結果から、施設毎の指導方針の多様性とその影響が示唆されたこと等の結果は、日本の就学前教育実践におけるリテラシー指導の特徴を捉えるうえで、本研究で開発されたスケールが一定程度有効であることを示唆するものだといえよう。
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