2015 Fiscal Year Research-status Report
大学教育のグローバル化と潜在的キャリア教育に関する研究
Project/Area Number |
15K04352
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
新谷 康浩 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (10345465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞鍋 倫子 中央大学, 文学部, 教授 (00345323)
猪股 歳之 東北大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60436178)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育社会学 / 潜在的教育 / キャリア教育 / 教育のグローバル化 / 教育から職業への移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、教育のグローバル化に伴うジョブ型労働市場に対応した教育内容の実質化と、日本的メンバーシップ型労働市場を前提とした職業移行準備教育の両者を、キャリア教育がいかに内包しているのか、潜在的教育まで視野に入れて実証的に検討するものである。 まず、当初の分析仮説で想定したグローバルの志向の度合いの妥当性を検討するため、いくつかの大学で予備調査を行った。その結果、ドメスティックな地位の志向で困難を抱えている大学において、グローバルな行為を志向させようとするキャリア教育が行われている事例を見出した。このことから、当初の分析枠組みは、大学を分類するタイプというより、各大学の現状と今後の方向性の2側面を内包する概念であると考えられる。 また、先の科研の発展として本科研を位置づけており、その成果を論文にまとめた。具体的には、芸術系・人文系のキャリア教育に内在している職業の序列構造とそれに対するまなざしに着目することで、職業地位達成の研究が用いてきた指標に含意されていた序列構造を浮き彫りにし、それを問題構成という観点から捉えなおした。芸術系・人文系のキャリア教育に内在している職業地位達成の指標を聞き取り調査から検討したところ、職業地位達成の研究が含意していた「標準的モデル」を相対化させる方向が存在していることが明らかになった。これらの学部では、就職圧力に直接応えるのではなく、専門性を高めることや人とかかわる力を高めることが結果的に良好な就職につながるという論理を持っていた。これはキャリア教育が企業の論理に沿うことによって教育の論理を後退させるのではなく、教育側の主導権を維持し続けようとする戦略とみることができる。これによって、これらのキャリア教育が「標準的モデル」に基づいた職業地位達成モデルを相対化させるものであることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備調査によって、本年度行う聞き取り調査に向けて聞き取り調査項目の整理ができた。また先の科研の成果を論文にまとめ、本研究へのつながりをつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、当初の計画通り、大学のキャリア教育担当者に対し、聞き取り調査を行う。聞き取り調査には、代表者・分担者いずれか1名を含む2名以上で行うことで、聞き取り調査の内容を担保する。聞き取り調査の際には音声データから文字起こしを行い、その内容を研究会で検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度の所要額では不足が生じたため一部を前倒しにした。次年度使用額が生じたのは本来次年度以降に行う予定の金額の一部であり、以下の使用計画に基づいて執行する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に行う聞き取り調査の一部を前倒しによって予備調査として行ったものであり、次年度使用額は本来の聞き取り調査のための旅費として執行する予定である。
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Research Products
(1 results)