2015 Fiscal Year Research-status Report
ヨーロッパにおける多様性のなかの統合を目指す多文化教育(仏英比較研究)
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15K04355
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小山 晶子 東海大学, 教養学部, 准教授 (00645179)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文化的多様性 / エスニックマイノリティ / 出身言語と文化の教育 / 移民 / 教育政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
仏国の公教育制度で実施されている出身言語と文化の教育のうち、ポルトガル語とイタリア語については外国語教育の枠組みへの統合がすすむ中等教育について、在仏ポルトガル領事館と在仏イタリア大使館関係者を通して、実際の状況について調査および確認を行った。両言語の教育は、初等教育レベルにおける言語教育については出身国が責任を持ち、中等教育レベル以降における言語教育の維持についてはフランス国民教育省による保障が期待されている。 英国では、従来エスニックマイノリティの教育的支援を担当していたEMAG等の予算の消滅により、英語を追加言語とするEALに対する教育的支援を行うスタッフが今日どのような枠組みあるいは手段を通してこれらの子どもに対する支援を実施しているのかについて調査を行った(ノッティンガム、ロンドン郊外、エセックス)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初平成27年度に調査を予定していた仏国国内の現状把握にとどまらず、英国国内の調査についても徐々に開始し資料収集も進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
仏国における調査は、出身言語と文化の教育の公教育における展開にとどまらず、ニューカマーの子どもを受け入れる枠組みであるUPE2Aが従来のCLINやCLAに比べて、教員の対応や教育の内容などに変化があるかどうかについて分析する。 英国における調査は、EALに対する補助金が実質上存在しないなか、学校現場でEALの学習支援がどのように実施されているかについて、小・中学校の現状について把握することを目的とする。なかでも、従来EALの学習支援を行っていた学外のスタッフが、学校とどのような関係性を築き支援を継続しているのかいないのか、などについて引き続き調査を行う。
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Causes of Carryover |
所属勤務先である大学を異動したため、勤務校の業務とスケジュールの兼ね合いから、想定していた海外調査のための出張が実施できなかったことが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
英国では、EALの教育調査および教員研修等を担っているNALDICが開催する国際会議(11月19日)への参加と、当会議へ出席する教員がEALに対する学習支援を実施する学校の調査訪問等を検討している。 仏国では、UPE2Aの初等および中等教育レベルにおける実態について、教員へのインタヴューと学校訪問を合わせて、パリ市内とボルドー市内において実施する予定である。 さらに、EUレベルの教育分野における取組の一環として実施している移民の統合政策と教育政策を関連づけた社会統合政策を促進するためのステークホルダーについての調査を始めるべく、EU加盟国のネットワークをもつ団体等の活動内容の調査とスタッフへのインタヴューを実施する予定である。
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Research Products
(7 results)