2016 Fiscal Year Research-status Report
ヨーロッパにおける多様性のなかの統合を目指す多文化教育(仏英比較研究)
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15K04355
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小山 晶子 東海大学, 教養学部, 准教授 (00645179)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移民 / 教育政策 / 受け入れ / イギリス / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
イギリスでは、エスニック・マイノリティ達成補助金(EMAG)が途絶えた後に、どのようなかたちで新規入国者および英語を追加言語とする生徒(EAL)の受け入れが行われているかについて、EALの受け入れに関する教員研修を主に担う団体および個人等へのインタヴューを通して調査を行った。特に、ノッティンガム市とインナー・ロンドンにおける学習支援の展開を追った。また、初等および中等レベルの公費維持学校の多くがアカデミーへと転じている傾向から、今後のアカデミー政策の方向性について、教育省の関係者に対してインタヴューを行った。さらに、小・中学校のアカデミー化を受けて、従来の公費維持学校等で実施されていたEALへの教育的支援と多文化教育の今後の行方について、関係者からの聞き取りを通して調査している。 フランスでは、外国籍の子どもで新規入国者である生徒の受け入れ学級が、2012年以降には通常学級へと開かれた単位(Unite)へと改変された政策を受けて、これらの生徒を受け入れる教員の教育的手法に生じた変化について調査を行った。今年度の訪問で調査の対象となったのは、ボルドー大学区と、パリの郊外であるクレテイユ大学区における公立小・中学校の受け入れ単位であった。従来の受け入れ学級の時期から新規入国者の生徒受け入れを担当していた教員については、以前の学級編成と現在の単位の運営の変化について、また将来的な新規入国者のフランス社会における統合という側面から多様な意見を聞いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度は、イギリスとフランスの両国において実地調査を行うことができたことによって、学校現場の現状を観察することが可能となった。また新規入国者を中心とする生徒の受け入れを担当する教員や、学習支援あるいは教員研修を行っているスタッフ等と意見を交換することによって、政策の変更を背景として生じている現場の実態とその現状を調査することができた。 また各国において、定期的に調査を実施できていることから、教育関係者との人脈が広がり、そして深まりつつあるため、今後さらなる調査の展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度であるため、2010年以降にフランスとイギリスでみられた移民の子どもに対する教育政策の転換を受けて、学校現場に生じている変化とその実態を比較分析した内容のものを、研究成果として学会発表および論文執筆というかたちでまとめる段階となる。その分析に必要となるデータの収集等に専念すべく、必要な場合は現地調査も含めて検討する。
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Causes of Carryover |
イギリスとフランスの二カ国における調査を実施したが、学内の業務日程の都合により、長期的な滞在が困難であったため、次年度使用額が生じてしまうこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題についての最終年度となるため、研究成果をまとめるにあたり不足しているデータの収集を行うことを目的としてイギリスとフランスの両国を訪れる予定である。また、データ収集の一環として、学校現場を訪問し、関係者へのインタヴューを通した調査を行うことも想定される。
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Research Products
(4 results)