2015 Fiscal Year Research-status Report
大学生の「グローバルな能力」獲得と活用の過程-4タイプの国際経験による比較研究
Project/Area Number |
15K04369
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡村 郁子 首都大学東京, 国際センター, 准教授 (20532154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
額賀 美紗子 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (60586361)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グローバルな能力 / 異文化間能力 / 大学生の国際経験 / 留学の効果 / 帰国生 / 高校留学 / インターナショナルスクール |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究期間の初年度にあたる本年度は、徹底してデータ収集を行った。4タイプの国際経験をもつ大学生(①大学入学後に半年から1年程度の海外留学を経験した者、②高校在学中に1年間の留学をした者、③日本の大学に在籍中の帰国生、④インターナショナルスクール出身者)を対象として、大学を通して協力を依頼した国際教養大学、神戸大学、首都大学東京等のほか、研究者個人のルートによる個別の依頼も合わせて、合計約50名より研究協力への同意を得ることができた。H27年7月からH28年3月にかけて、それぞれ約1時間のインタビュー調査および質問紙調査を実施した。H28年度からの分析に向け、音声データを文字化し、質問紙調査についてはデータ整理を行っている。 本研究の意義は、留学経験者や帰国生等が獲得した「グローバルな能力」あるいは「異文化間能力」について、実証的に明らかにすることにある。特に大学生を対象とした研究蓄積はいまだ希少であり、トランスナショナルな社会空間の中で、大学生がどのような過程を経て「グローバル人材」になるのか、あるいはならないのかを検討することは、今日急速にグローバル化を進展しようとする日本にとっての大きな課題であろう。 現在までに収集したデータにより、異なる国際経験を通して獲得した能力についての貴重な語りが収集されており、これに基づき「グローバルな能力」を育成・活用することの効果や限界を指摘することが可能となると想定している。これらの語りの中には、大学生の帰国後のサポート体制やキャリア支援のあり方への言及もみられ、日本の高等教育機関や企業、政策のグローバル化への示唆となることも期待されるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究初年度であり、データ収集に徹した。その結果、国際教養大学、神戸大学、首都大学東京等をはじめとして、さまざまな大学より50名程度の研究協力者を得て、おおむね順調にデータを収集することができた。現在音声データの文字化が終了し、質問紙調査についてもSPSSを用いた分析に向け、データの入力を行っている。なお、研究協力者においてはH28年2月より半年間の産休・育休に入っており、今後の分析に多少の遅れが出る可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度中に収集したデータに基づき、H28年度はその分析を中心に研究を推進する。結果がまとまり次第、秋以降、国内の学会において成果の発表を予定している。H29年度には国外の学会においての発表を視野に、分析を進めたい。さらに、すでにインタビューを実施した研究対象者について、就活を終えたタイミング、もしくは就職後のいずれかの時機をとらえて、彼らのグローバルな能力が社会でどのように活かされているのか/いないのかについて、追跡調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
インタビュー音声データの文字化のために予算を確保していたが、当該データが今年度の決済期日までに収集できず、翌年度に回すこととしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに当該データは収集が終了しているので、すみやかに文字化の手続きを行う。
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Research Products
(2 results)