2015 Fiscal Year Research-status Report
公的支援からこぼれ落ちる要支援者の実態調査とキャリア発達への中間的支援モデル作成
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15K04374
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大塚 類 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (20635867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 野ゆり 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (20550932)
筒井 美紀 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70388023)
船山 万里子 都留文科大学, 文学部, 講師 (00649238) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 見えない生きづらさ / 私的支援 / 児童福祉施設 / 小学校 / 高等学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「見えない生きづらさ」を抱えている小学生から社会人までの実態と、彼らを支える支援者(保護者・教員・ケアワーカーなど)による「私的支援」の現状を明らかにし、公的・私的支援の援用可能な利点を含みこんだ、持続可能な中間的支援モデルの提案を目指すものである。 3年計画の初年度である平成27年度は、研究代表者と研究分担者それぞれが持っている幅広い研究フィールドでの継続的(毎週)なフィールド調査を重点的に行い、中間的モデル作成のためのデータの蓄積に努めた。と同時に、その成果の一部を学会や雑誌等で発表した。具体的には、研究代表者の大塚は、「私的支援」について児童養護施設の職員にインタビュー調査を行い、学会で発表したり、小学校でのフィールド調査に基づき、私的支援の難しさについて考察する論文を執筆した。分担者の遠藤は、保護者や支援者に焦点を当てた論文を執筆したり、フリースクールや定時制高校や大学を研究フィールドとして調査を継続している。分担者の筒井は、定時制高校での継続的なフィールド調査に基づく論文を執筆した。その他、普通科高校をフィールドとしている連携研究者もいる。 こうした一連の研究成果とデータの蓄積により、「私的支援」がどのフィールドでも幅広く行われていることや、「私的支援」の具体的内実が明確になった。と同時に、支援者が抱えることになる「生きづらさ」や、「私的支援」を一個人の個人的な支援から、当該の教育現場での一モデルとして確立することの難しさが、改めて浮き彫りになった。そのため2年目にあたる平成28年度には、支援者にさらに焦点をあてた研究を蓄積する必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、研究代表者ならびに研究分担者による継続的なフィールド調査は順調に進展し、データの蓄積も順調に進んでいる。研究代表者、研究分担者ともに、医療分野や定時制高校など、新たな研究調査フィールドも開拓し、研究申請時よりもさらに重厚な調査が期待できる。 他方で、1名の研究分担者が所属がなくなったために連携研究者になるなど、予想外の出来事もあった。また、平成28年度に英国での調査を予定していたが、先方の都合もあり延期になるなど、予定していた調査が行えなかった部分もあった。そのため、区分を「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した研究実施計画通り、平成28年度も国内外のフィールド調査による事例収集を継続して行う。この点に関しては、現状通りで問題ない。 さらに平成28年度は、前年度に収集した事例に基づき、「見えない生きづらさ」の具体化・類型化と、「見えない生きづらさ」を可視化するための予防的観点の抽出を行う予定である。そのためには、研究代表者ならびに研究分担者と連携研究者が、昨年度より以上に密に連携を取り、打ち合わせをする必要があるが、全員都内の大学に勤務しており、特に研究代表者の大塚と分担者の遠藤は、毎週打ち合わせをしていることから、この二人が中心になって本研究課題の推進を具体的に行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初研究分担者であった柴田先生が、事情により所属を失い年度途中で分担研究者を降りたため、柴田先生に配分していた予算がすべて返却されたため。 また、初年度に行うはずであった英国でのフィールド調査が、先方の事情で行なえず、次年度に変更になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
柴田先生には連携研究者として研究を継続いただくため、そのフィールド調査費用として使用する。また、平成28年度は、英国調査あるいは福祉先進国であるデンマークでの調査を検討しているため、その調査費用として使用する。
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