2015 Fiscal Year Research-status Report
「グレーゾーン」の子どもたちの処遇をめぐる社会学的研究―日英の比較を通して
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15K04381
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
原田 琢也 金城学院大学, 人間科学部, 准教授 (10707665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 好孝 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (20458730)
高橋 眞琴 鳴門教育大学, その他の研究科, 准教授 (30706966)
佐藤 貴宣 大阪市立大学, 文学研究科, 研究員 (50737070)
堀家 由妃代 佛教大学, 教育学部, 准教授 (80411833)
林 美輝 龍谷大学, 文学部, 准教授 (80547753)
三好 正彦 大阪女子短期大学, その他部局等, 助教 (80600072)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / 特別なニーズ教育 / 特別支援教育 / 発達障害 / 社会的排除 / 社会的包摂 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内フィールド調査では,6人の研究者が分担して,7つの小中学校で継続的なフィールド調査を行っている。状況は7校7様で問題状況は違っており,一概には言えないが,ある学校では,家庭の環境や社会経済的要因から課題を現出させている子どもが,「発達障害児」とカテゴライズされ,排除されつつある過程が明らかになった。教師は,一方で子どもの課題の背後には厳しい家庭環境があることを認識していながら,本来「中枢神経の機能障害」とされる「発達障害」概念を拡張して用いていた。 イギリス調査では,4人の研究者が,1週間にわたりロンドンのニューアム区に滞在し,小学校2校と中等学校2校で,フィールド調査を実施した。この地区は移民労働者が多く在住し,社会経済的に厳しい条件を持つ地域である。しかし,学校は子どもたちの学力を下支えし,通常学校への包摂に効果を発揮していた。イギリスの教育制度の下では,子どもの課題は生物学的な意味に於ける「障害」概念によって捉えられることはなく,「特別な教育的ニーズ」(SEN)概念で捉えられる。SENの中には,「障害」(disability)も含まれるが,社会経済的要因から課題を現出させている子どもが,「Social Emotional Needs」として含まれることになる。Newhamの学校では,SENのある子どもに対して,多種多様なスタッフが,システマチックに協働し,学校ぐるみでの支援を達成していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内調査は,6人の研究者により継続的に展開されており,順調に進んでいる。進捗状況は,月1回の月例会で随時確認してきた。 イギリス調査も,4人の研究者により予定通り実施され,現在,その成果を論文としてまとめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
国内調査については,各自がそれぞれのフィールドにおいて調査を継続する。年度途中で,学会発表や論文投稿を共同で行い,それぞれの知見の摺り合わせを図る。 イギリス調査については,現在,研究成果を論文としてまとめているところである。その結果明らかになった課題を克服すべく,次年度の調査計画の詳細を決定する。
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Causes of Carryover |
国内フィールド調査の調査地が勤務地から近く,当初予定していたほど旅費がかからなかったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者を1名追加したことに伴い,その者が実施するイギリス調査経費に充てる予定である。
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Research Products
(19 results)