2015 Fiscal Year Research-status Report
日本の伝統工芸を取り入れた生涯教育に導くモノ教育プログラムの構築
Project/Area Number |
15K04429
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
松井 祐 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10290537)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 伝統工芸 / 美術教育 / ものづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、モノづくりを通してモノの理解を深め,生涯教育に導くことを目標に掲げ,モノづくりの楽しさや面白さを通して,自ら学ぶ力を育む生涯教育をめざすことを目的としている。 本年度は,現代人が身近なモノに対してどの程度理解できているのかについて,類似する素材や加工の理解度をはかるため,観察及び聞き取りによる個別の調査を実施した。調査では,①「陶器」と「磁器」,②「天然皮革」と「合成皮革」,③「ガラス」と「アクリル(プラスチック)」,④「羊毛」と「木綿」,⑤「あみ物」と「おり物」,⑥「和紙」と「洋紙」の6項目の実物を見て観察し,正確に見分けられるのかを確認し,素材を見分ける要因について分析した。また,主観的な判断と合わせて,現代人のモノに対する感覚的な判断力を確認し,今後の美術やものづくり教育に必要な内容や指導について考察し,教育活動へどのようなアプローチが必要かを検証した。 その結果,意識調査よりも,実物を用いた視覚による調査,五感による調査へと進むにつれ,より多くの感覚機能を働かせている傾向がみられた。このようなモノへの認知度を問題視し,学習にも積極的に取り入れることで,早期にモノへの知識が生かされるだけではなく,将来社会においてモノの技術的な発展や応用がさらに横断的に考えられるようになることが期待できることが確認できた。また,素材を学習する際は,類似する素材を複数用意し,五感を働かせ,モノの知識を同時に学習し,体験的に比較する取り組みが効果的であることも明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
素材に関する教育や指導の重要性を指摘することができた。学校や学校外で実施されるものづくり活動やそれにともなう感覚機能を高める活動の課題を明らかにし,その可能性を示唆することにもつながった。また,研究成果を学会論文にまとめ発表し,公表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,子どもから大人まで多くの人が理解しやすい教材開発が必要である。モノの理解をめざした新たな教材開発により,学校教育や学校外の教育において活用し,一人ひとりがモノに対する理解を深め,知識が高まることを期待する。その具体的な方策として,五感を働かせ比較できる素材の収集,ものに対する適切な知識をまとめた比較本の作成に着手したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
伝統工芸教材見本や工芸材料の購入を予定していたが,購入にあたっては,伝統工芸士の指導助言を仰ぎ最適なものを購入することが研究を進めるうえで、最善であると判断した。そのため,一部教材については,伝統工芸の視察後,伝統工芸士や教育研究者の指導・助言を仰ぎ,適切なものを購入することとした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については,和紙教材と素材については9月に使用する。また竹教材と素材については10月に使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)