2017 Fiscal Year Research-status Report
21世紀型能力育成と高校改革をめざす高校総合学習の総合的研究
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15K04517
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
和井田 清司 武蔵大学, 人文学部, 教授 (50345542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 与兵衛 首都大学東京, 大学教育センター, 特任教授 (50714804)
高橋 亜希子 南山大学, 人文学部, 教授 (90431387)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 総合学習 / 高等学校教育 / 学校改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高等学校(以下高校と略記)の総合的な学習の時間(以下総合学習と略記)を,より効果的に展開する指針を探究することを目的としている。そのためには,高校総合学習の制度的理念を確認するとともに,実践状況の把握や典型実践の特徴を析出し,実践指針を提示することが求められる。そこで,第1に,高校総合学習の制度化や系譜に関する文献研究を実施した。第2に,高校総合学習の履修経験者(大学生)アンケート調査およびN県の各高校への実践状況調査を実施した。そして第3に,開発的取り組みを進めている各地の実践校(高校)についての訪問調査を実施した。 上述の研究事項の内,第1の文献研究については,戦後幾度かの高校総合学習の系譜(戦後初期の「時事問題」,1970年代の「教育課程改革試案」に制度化された高校総合学習)が確認された。それらの先行経験の弱点をふまえたかたちで高校総合学習の時間が,自律的学習の実現をめざして制度化されたことを明確化した。 第2に,質問紙調査として実施した履修者への調査では,高校総合学習の趣旨に即した実践が一部で見られるものの,進学補習や進路指導,学校行事の事前事後指導に傾斜する傾向が見られた。一方,N県での実践状況では,地域学習や主権者教育をテーマとした取り組みが見られた。これらについては,学会報告や紀要原稿への執筆というかたちで公表している。 第3に,開発的取り組みを進めている各地の実践校(高校)の訪問調査を通して,高校生のニーズに対応すると共に,地域との連携が実践を支えていることが明確となった。その成果を学会報告として公表した。 次年度は最終年度となるので,上記の諸成果を整理し直すと共に,新学習指導要領の高校総合学習(総合的な探究の時間)の提起に即した視点や論点も提示できるように深めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り進行しているが,2017年度末に高校新学習指導要領の告示となり,高校総合学習の制度改革が予定されている。その趣旨を踏まえて,最終年度となる2018年度には,新学習指導要領の趣旨に即したまとめになるように微調整を図っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究成果やデータ等を元に最終年度のまとめを行う。その際,2018.3に告示された新学習指導要領における高校総合学習(総合的な探究の時間)の改訂点に即した内容になるように,工夫したい。
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Causes of Carryover |
研究期間の一年延長を申請し,そのための次年度使用分として一部予算を繰り越した。 主な延長理由は,学習指導要領改訂(2018.3末告示)にともない,高校総合学習の制度的拡充(制度的修正)が実現したことによる。新学習指導要領の主旨に即して,研究成果を再検討し,補充的研究を加えて,より有効な結論へと導きたいと考えたからである。 次年度使用額の使用計画としては,補充調査の旅費・謝金および発行予定の研究成果冊子費用の予定である。
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