2015 Fiscal Year Research-status Report
発達障害者の就労支援―デンマークの自閉症スペクトラム者へのIT教育の試みに学ぶ―
Project/Area Number |
15K04536
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
青木 真理 福島大学, 総合教育研究センター, 教授 (50263877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 雅泰 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (80261717)
杉田 政夫 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (70320934)
高橋 純一 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (10723538)
柴田 千賀子 桜の聖母短期大学, 生活科学科, 准教授 (80639047)
杉田 孝子 (伊藤孝子) 名古屋芸術大学, 音楽学部, 准教授 (20367676)
柴田 卓 郡山女子大学短期大学部, 幼児教育学科, 講師 (60762218)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発達障害者 / 就業支援 / デンマーク / 自閉症スペクトラム障害 / IT産業 / 特別なニード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,青年期の発達障害者の就労に焦点をあて,デンマークの事例を調査し修了支援の在り方を探究することである。27年度の研究実施計画は1.研究会を行いデンマークと日本の発達障害者就労支援についての文献研究と,デンマーク訪問調査の計画立案を行う。2.デンマークにおいて自閉症スペクトラム障害(以下ASD)をもつ青年をIT産業へとつなぐ教育支援としてのAspITに関連した調査研究を行う,であった。 1.については月1回程度の研究会を行い,文献研究の発表と共有,訪問調査計画立案,訪問調査後の成果の発表と共有,紀要等の媒体への発表準備等を行った。 2.については,平成27年9月1日から9日までデンマーク・コペンハーゲンに滞在していくつかの調査対象者を訪ねた。26年までの訪問調査の対象は諸般の事情で調査対象から外れ,今回の調査ではコペンハーゲン西地区若者ガイダンスセンター所長の協力により,以下の対象者を訪問する機会を得た。①ASDをもつ青年をIT産業につなぐ支援と雇用を行っている企業,②さまざまな特別なニーズのある青年への職業教育機関兼企業 ③インクルーシブな支援を行っている放課後センター,この3つを訪ねて聞き取り調査を行った。また④ジョブセンターを訪ねて,特別なニーズを持つ青年への就業支援(EGU,KUU,STU)についてのレクチャーを受けた。 本調査で明らかになったことは,デンマークでのASDの特性を生かした教育支援はAspITだけでないこと,デンマークのASD青年の就業支援が,ASD特性を最大限に生かすために環境を変容させ調整をするという理念を具現化しつつ行われているということ,行政・民間企業双方のレベルで努力がなされ,ジョブセンターと若者支援センターがそれらをつなぐ働きをしていることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を申請した際は,就業支援プログラム提供者のある企業に焦点化した研究を行う予定であったが,当該企業と私たち研究者のあいだの相互の期待のずれから,研究協力が望めなくなったことは予期せぬ出来事であった。しかし10年来の研究協力者の協力により,同種の目的をもつ他の就業支援プログラム提供企業を紹介されたことで,デンマークのASD青年の就業支援の多様性について知ることになったのはむしろ収穫であった。ただ,就業支援プログラムの提供者への評価(自治体の評価機関による)については,調査対象者が変更されたため27年には探究することができなかったので,これは28年度の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
27年に訪問調査したASD青年をIT産業につなぐ教育支援と就業支援,雇用を行っている企業についてひきつづき調査を行う。この企業の提供するプログラムに対して自治体の評価主体がどのように評価しているかを調査する。 特別支援教育を行う学校が行う就業支援の方針,内容について,学校を訪問し聞き取り調査を行う。また,ここ10年にわたるドラスティックな教育改革が特別支援教育,障害をもつ青年の就業支援に与えた影響についてもあわせて聞き取りを行いたい。 学校と企業,就業支援プログラム提供者をつなぐ役割を担うジョブセンター,若者ガイダンスセンターについてその機能をより詳細に分析するための調査を行う。
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