2016 Fiscal Year Research-status Report
弱形式スキームによる弾性波散乱の数値計算法及びその実験的検証
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15K04752
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
加藤 初弘 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (00270174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 初儀 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科総合自然科学系, 教授 (80224525)
石井 孝明 山梨大学, 総合研究部, 教授 (40262323)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 重調和解析 / 弱形式スキーム / 逐次伝達法 / 弾性導波路 / フィルタ / 局在波 / ファノ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,新たに開発中の数値計算法である逐次伝達法の有効性を,弾性波実験により検討することである.この目的の為に,平成28年度は,これまでの実験を局在波効果に注目して整理し発表することを目指した.得られた実績は,次の3つにまとめることができる. 1.共鳴散乱現象の制御方法の開発: 弾性平板の導波路で起きる共鳴散乱において,共鳴曲線の対称性を制御する方法を提案し,その効果を実験的にも確認した.この制御方法では,導波路の幾何学的な形状を変化させることで,入射波と局在波が干渉する位置を相対的に調整する.逐次伝達法を用いて数値的に予想した傾向が,ある程度の精度を保ち実験的にも確認された.また,この実証実験により平成27年度に開発した弾性導波路におけるSパラメータの抽出方法に関する有効性も確認できた. 2.数値計算の精度向上方法の提案: 研究対象である逐次伝達法は,これまでメッシュ形状が四角形に限られていた.この制約を取り除くために,メッシュを三角形に細分する方法を提案した.この提案は,メッシュ作成の自由度にとどまらず数値計算の精度も向上させた.メッシュを細分化する試みはこれまでにもあったが,この試みとともに場の変数の補間を力学的な条件を反映させてた形状関数で行う試みは,これまでにない新しい技術である. 3.円柱の弾性導波路での共鳴現象の予想と確認: 3次元のシステムで局在波が存在する可能性が理論的に明らかになった.さらに,実験的にその兆候を捉えることもできた.この現象は,応用とも関連する可能性があり,今後の展開を期待している. 以上の研究成果は,学術会議2件(国際学会1件を含む)で発表するとともに,論文2編を出版して公開した.この他にも,査読が最終段階の学術論文が1編ある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主な研究目的のひとつである弾性平板での共鳴現象は,理論および数値解析の予想をほぼ実験的に確認することができた.また,論文および国際学会での発表も完了しており,ほぼ当初の予定どおりに進んだ.これまで,重調和波動方程式を局在波に関連して議論することがなかったが,この研究により両者が実験的にも結び付いたことにより応用に発展する可能性も開けた. 保有していた計算システムが破損したことにより,汎用の計算ユニット(GPU)を用いた行列の並列計算の検討を実施できなくなったが,その分の労力を計算精度の改良に振り分けた.この検討結果は国際学会において発表できる成果になった. 当初,層状構造物を用いて,3次元弾性体での散乱現象を検討することを予定していた.しかし,理論による検討が進み切削加工で3次元構造を整形することにより効果的な検討が可能であることが判明した.すでに,予備的な実験により局在波が関与する共鳴現象が観測されている.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は課題の最終年度であるので,これまでの検討をより広い視点に立って展開しまとめることを目指す.とくに,弾性散乱に重調和方程式が適用できるという視点,および,重調和方程式の解に局在波が出現するという視点に留意する. 計算システムのハードウェアの破損を回復すべく,新システムでの数値解析環境,特に並列計算ができるソフトウェア的な環境を整備する.この計算システムを用いて,逐次伝達法(数値計算法)を重調和方程式が支配するシステムにおける輻射場に適用する. 3次元の弾性導波路におけるフィルタ現象の実験に対して,局在波の関与を中心に解析を進め応用の可能性を探る.重調和波動で現れる局在効果が,平板に限らずこのような3次元のシステムでも顕著な効果をもたらすことを実験でも明らかにする.さらには,この現象を応用するシステムも検討する. 新しい検討システムとして,スピノル波動の解析を始める.これにより,弱形式離散化スキームをより広範なシステムに適用する端緒とする.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は2つある.第1の理由は,投稿論文の査読が年度をまたいだために,当該論文の次年度での出版経費を確保するためである.第2の理由は,試作を予定していた試料の再設計により加工依頼が次年度に延びたためである.この再設計は,理論計算の進展により,効果的に現象を観測できる新たな試料構造が明らかになったために必要になった.実験の開始が遅れたが,新たな視点で理論を検証する可能性が開けた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該論文は査読が最終段階であり,この出版経費とする.また,再設計している試料に関しては,材料および加工の経費を当初予定からかなり抑えることができる.一方,理論計算では検討が難しい効果を数値計算で補強する必要があるため,この予算をFEMシミュレーション用のソフトウェアを新たに購入するために使用する.
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Research Products
(4 results)