2015 Fiscal Year Research-status Report
出力最大化および消費電力最小化を目的とした車載モーターのトポロジー最適化
Project/Area Number |
15K04754
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 慎太郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70581601)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 構造最適化 / トポロジー最適化 / 車載モーター / トルク出力 / 低消費電力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,固定子,回転子,コイルや永久磁石の形状や配置位置を同時に創成設計するトポロジー最適化法を構築することにより,新しい機能,あるいは高機能を持ち低消費電力で高出力を実現する革新的な車載モーターの構造創成設計を行う事である.この目的を達成するために,車載モーターの固定子・回転子・コイル・永久磁石の形状と配置位置を設計変数を用いて表現し,それらの様々な形状・配置位置に対応したトルク出力・消費電力等のモーター性能を評価出来る数値計算法を確立し,更にトルク出力や消費電力を目的関数又は制約関数とした場合の設計感度について感度解析法を確立し,以て冒頭に述べたトポロジー最適化法を構築する.平成27年度においては,回転子・固定子を構成する構造材料に磁場が発生した場合における,磁束密度と磁場強度の関係,すなわちB-H特性が,実際には線形ではなく非線形の性質を示すことに着目し,この非線形性を考慮した順解析法,及び感度解析法を開発し,これらの成果を基に,構造材料のB-H特性の非線形性を考慮しながらトルク出力最大化を実現する,密度法に基づくトポロジー最適化法の構築に成功した.構造材料のB-H特性の非線形性は,モーター設計において無視できない影響を数値解析にもたらし,非線形性を無視した場合と考慮した場合とで,数値解析結果に大きな差異をもたらすことから,B-H特性の非線形性を正しく取扱いながら最適設計が行えるようになったのは大きな進展と言える.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも述べた様に,平成27年度に,回転子・固定子の構造材料のB-H特性の非線形性を考慮したトポロジー最適化法の構築に成功した.従来はこの非線形性を無視し,線形性を仮定した上でトポロジー最適化を行っていたが,実際には非線形性が強いため,得られた最適構造の物理的解釈に矛盾が生じる状況であった.平成27年度に得られた成果によってこの問題が解決されたのは大きな進展と言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に得られた成果を基に,「研究実績の概要」で述べた目的を達成するため,方法論の更なる発展を目指す.より具体的には,平成27年度には密度法に基づいてトポロジー最適化を実現していたが,この場合に,最終的に得られた最適構造に空気と構造材の中間的な挙動を示す中間材料が残る事があった.この中間材料は実際には製造出来ないため,最適形状からは完全に除去する必要がある.また,永久磁石やコイルの形状や配置位置を正確に表現するためにも,密度法に基づく形状表現にはある種の限界が存在する.一方で,レベルセット法で形状表現を行う場合,前述の中間材料は原理的に排除され得る.そこで,本年度以降は,これらの形状や配置位置を密度法ではなくレベルセット法で表現するようにし,レベルセット法に基づく構造最適化を目指す.
|
Causes of Carryover |
研究の進捗状況を考慮し,該当額を次年度に使用することとした.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
該当額は次年度のソフトウェア保守費に充てる予定である.
|