2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K04866
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 敦 筑波大学, 数理物質系, 講師 (00531451)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 結び目理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に実施した研究の成果は、ハンドル体結び目の彩色不変量に用いるユニバーサルな代数系に関して、その位置づけと構造を明らかにしたことです。「ユニバーサルな代数系」は前提とする条件により異なる代数系になります。結び目の場合には、交点に一つの演算を割り当てるとカンドルが、交点に二つの演算を割り当てるとバイカンドルが得られます。また結び目の向きを考慮するか否かによっても得られる代数系が異なります。ハンドル体結び目の場合にこれらの関係性を明らかにしました。また、多重共役カンドルを用いたハンドル体結び目のカンドルコサイクル不変量に関する論文を発表しました。この論文では、退化部分加群が部分鎖複体であることを示し、多重共役カンドルの(コ)ホモロジー理論を構築しました。このような研究成果を得るためには、科学研究費補助金を用いて出張を行い、研究会議で国内外の研究者と議論を交わすことが重要でした。特に、本研究に関連した研究会議として「ハンドル体結び目とその周辺IX」が10月に開催されました。この研究会議では、Hidetoshi Masai 氏によるハンドル体結び目補空間の双曲構造についての研究、Toru Ikeda 氏による補空間が双曲多様体となる空間グラフの構成についての研究、Ayumu Inoue 氏による結び目図式のカンドル彩色と結び目補空間の体積についての研究、Akira Ushijima 氏による双曲的空間グラフとしてみる Suzuki's Brunnian graph についての研究がありました。またハンドル体結び目に関連した低次元トポロジーの重要な問題についても話し合われました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように研究成果が出ている。 本研究に関連する研究会議も滞りなく開催されている。
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Strategy for Future Research Activity |
ハンドル体結び目の向きに着目した不変量の計算を進めます。研究を効率よく進めるために関連する研究会議やセミナーなどに参加し情報収集を行います。また研究成果の発表を通して、研究成果に対するフィードバックを得ることで、研究成果をさらに洗練させます。このように適切に出張を行うことに加えて、研究会議「ハンドル体結び目とその周辺10」を開催します。研究会議の開催によって人的交流を促進し研究者同士の活発な議論を引き起こすことで、深みのある研究を加速させます。
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Causes of Carryover |
出張日程の延期のため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
更新された日程で出張し、旅費として使用する予定である。
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