2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04878
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
横田 佳之 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (40240197)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 結び目 / 体積予想 / ポテンシャル関数 / ノイマン・ザギエ級数 / A多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
結び目の体積予想とは、結び目のジョーンズ多項式の極限に補空間の双曲体積が現れる、という予想で、多様体の幾何構造と量子不変量・量子群を結びつける重要な研究テーマである。本研究で扱うポテンシャル関数は、ジョーンズ多項式の積分表示における被積分関数の主要項に現れる複素多変数関数のことをさすが、その臨界方程式、臨界値、ヘッセ行列式等が、結び目補空間の双曲幾何学と深く関係していることが知られている。本研究の目標は、ポテンシャル関数と結び目補空間の双曲幾何学の関係をさらに掘り下げ、幾何的な側面から、結び目の体積予想の一般化の解決に貢献することである。 平成27年度の研究では、計画を前倒しして、平成29年度に予定していた、ノイマン・ザギエ級数とA多項式の関係に関する研究を行った。ノイマン・ザギエ級数とは、双曲結び目の緯線のホロノミー表現族の定める固有値関数のテイラー級数として、結び目補空間の基本群の各パラボリック表現に対応する形で定義することができる。前年度までの研究で、ポテンシャル関数のヘッセ行列の高階微分を用いてノイマン・ザギエ級数を計算する公式を得ていたが、本年度の研究では、A多項式の各係数多項式を、各パラボリック表現に対応するノイマン・ザギエ級数を用いて記述することに成功した。一般には計算が困難な不変量として知られるA多項式であるが、この方法により、数値計算的な手法で求めることができる可能性が開かれたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度に予定していた研究は、前倒しにより順調に推移しているが、平成27年度に予定していたライデマイスター・トーションに関する研究、平成28年度に予定しているカスプ間距離に関する研究には、未だ着手できていない。また、平成28年度前半は、予定になかったテーマに取り組むため、上記のテーマに着手するのが、平成28年度後半以降になる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度前半は、体積予想の提唱者であるカシャエフ氏が来日するため、研究計画に組み込んでいなかった、ジョーンズ多項式の極限計算に関する研究を実施する予定である。このため、ライデマイスター・トーションに関する研究は、平成28年度後半~平成29年度前半に、カスプ間距離に関する研究は、平成29年度に、それぞれシフトして実施する予定である。
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Causes of Carryover |
海外からの講演依頼がなく、海外出張を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の使用計画に、研究支援ソフトウェアの更新費用を上乗せする。
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Research Products
(4 results)