2018 Fiscal Year Research-status Report
群が作用するCAT(0)空間のBorel予想とNovikov予想に関連する研究
Project/Area Number |
15K04885
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
知念 直紹 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 総合教育学群, 教授 (20370067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 哲也 静岡大学, 理学部, 准教授 (50344908)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 幾何学的群論 / 連続体論 / Coxeter群 / Menger曲線 / Sierpinskiカーペット / 対称積 / 等長群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、幾何学的群論において重要な群である無限離散CAT(0)群の研究である。特に、CAT(0)群の幾何的に作用するCAT(0)空間の位相的性質あるいは Gromovが提案したCoarse的な性質の研究である。当該年度はCoxeter群の理想境界の連続体論からみた研究を行った。すなわち、理想境界がMenger連続体と同相となるようなCoxeter群の存在性について研究を行った。数学専門雑誌において発表されていないBenakli氏の博士論文の中に1次元Menger連続体を理想境界にもつ双曲的非直角Coxeter群が構成されているが、研究分担者の保坂氏との共同研究により、ある条件下での双曲的直角Coxeter群において、1次元Menger連続体を理想境界にもつ必要かつ十分条件を求めた。この結果を使用して、具体的多数の1次元Menger連続体を理想境界にもつ双曲的直角Coxeter群を構成してみせた。さらに、この結果は同様に1次元Sierpinskiカーペットにも適用され、ある条件下で、1次元Sierpinskiカーペットを理想境界にもつ必要かつ十分条件も得られ、それを使って1次元Sierpinskiカーペットを理想境界にもつ双曲的直角Coxeter群も具体的に構成した。また最近、Swiatkowski氏によって、1次元Sierpinskiカーペットを理想境界にもつ双曲的直角Coxeter群の別の視点からみた必要かつ十分条件が発表され、さらにCannon氏による特徴付けられた高次元Sierpinskiカーペットを理想境界にもつ直角Coxeter群を構成された。このSwiatkowski氏の構成をみると、高次元Menger連続体を理想境界にもつ双曲的直角Coxeter群を構成の足掛かりも見えるが、逆にその構成の難しさも垣間見える。この構成のさらなる解析が必要と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究目的の1つである、CAT(0)群の幾何的に作用するCAT(0)空間の位相的次元の有限性について、ほとんど成果を得ることができなかった。しかしながら、本研究のもう1つの目的である、CAT(0)群であるコクセター群が幾何的に作用するCAT(0)空間の理想境界の研究おいて、その理想境界が1次元Menger連続体とあるいは1次元Sierpinskiカーペットになる双曲的直角コクセター群の具体的な幾何的構成はできたが、しかし高次元Menger連続体を理想境界としてもつコクセター群の構成はできていない。上述をふまえ、最近発表されたSwiatkowski氏によるCannon氏による特徴付けられた高次元Sierpinskiカーペットを理想境界にもつ直角Coxeter群の構成の解析を行っている。高次元Sierpinskiカーペットと高次元Menger連続体の構成方法は、ある意味同様な規則に従った連続体の列から構成しているので、Swiatkowski氏による構成方法は高次元Menger連続体を理想境界にもつ直角Coxeter群の構成の足掛かりになると思われる。それゆえ、Swiatkowski氏による構成の解析を行っているが、SierpinskiカーペットとMenger連続体の具体的な構成の差がその性質をもつ直角Coxeter群の構成の難しさを生んでいる。よって、さらなるSwiatkowski氏による構成の解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
高次元Menger連続体を理想境界としてもつコクセター群の構成について、Swiatkowski氏によるCannon氏による特徴付けられた高次元Sierpinskiカーペットを理想境界にもつ直角Coxeter群の構成のさらなる解析を行う。高次元Sierpinskiカーペットと高次元Menger連続体の構成方法は、ある意味同様な規則に従った連続体の構成をしているので、高次元Menger連続体を理想境界にもつ直角Coxeter群の構成の足掛かりとなる。 無限次元ヒルベルト空間へのCoarse的な埋め込みはNovikov予想と深い関係があることが知られているが、無限次元ヒルベルト空間の等長群の部分群を調べることは重要である。そのため引き続き、無限次元ヒルベルト空間の等長群とこのノルム空間の有限対称積の等長群との差と、視点を変えて無限次元ヒルベルト空間の部分等長群をノルム空間の有限対称積の部分等長群から調べる。 上述の推進方策を実行するために、引き続き高次元Menger連続体を理想境界にもつCoxeter群とCAT(0)空間の構成について静岡大学の保坂哲也氏と主に共同研究を行い、CAT(0)空間の位相的次元、mean位相的次元とasymptotic次元については早稲田大学の小山晃氏と主に共同研究を行う。また、早稲田大学幾何学セミナーにおいて、群や局所有限無限グラフあるいは位相空間のCoarse的性質に関して最新の結果を理解し活用していく。
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Causes of Carryover |
理由) 前年度に引き続き、身内の体調不良のため、予定していた計画、特に海外の研究集会が参加できなくなり、さらに宿泊が含まれる研究集会等に参加できなかったため。 (使用計画) 6月の京都数理解析研究所で実施される位相空間論関係の研究集会、定期的に実施される早稲田大学幾何学的セミナーと横浜国立大学における位相空間論の横浜セミナーに参加する予定である。また、幾何学的群論に関する書物あるいは論文等、mean位相次元に関する書物あるいは論文等の購入を予定している。
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Research Products
(2 results)