2015 Fiscal Year Research-status Report
無限不変測度をもつエルゴード変換群の位相モデルの解明
Project/Area Number |
15K04900
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
湯浅 久利 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (50363346)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | エルゴード性 / 無限不変測度 / 因子写像 / 位相モデル / 一意エルゴード的 / 局所コンパクトカントル極小系 |
Outline of Annual Research Achievements |
N.Ormes(1997年)による成果の類似物を,任意のエルゴード的II∞型変換において証明することが当初の初年次における研究目的であった.また,当初の研究計画・方法では,B.Weiss氏の成果(1985年)および,その詳細を丁寧に記述したE.Glasner氏の著書(2003年)を手掛かりにし,必要であれば両者に直接教えを乞うことを考えた. B.Weiss氏の成果は『任意のエルゴード的II1型変換間の因子写像は,一意エルゴード的カントル極小系間の位相的半共役写像で実現される』ことを意味する.エルゴード的II∞型変換においてその類似物を証明することは,本研究の出発点となった研究代表者自身による成果(2013年)以来の懸案であった. この懸案は申請書に記載していなかったが,本研究の目的に完全に沿うもので大変重要であり,今回解決することに成功した.B. Weiss氏の議論にはギャップが認められ,E. Glasner氏の著書においても未完全のまま記述され,F.Beguin-S.Crovisier-F.Le Roux(2012年)によってそのギャップは埋められていた.後者の議論を,B.WeissやE.Glasnerによる位相モデルの構成に逆極限を用いるスタイルに集約させ,B.Weiss氏による成果のエルゴード的II∞型変換における類似物を証明することができた.それは次のように述べられる.『任意のエルゴード的II∞型変換間の因子写像は,一意エルゴード的局所コンパクトカントル極小系間の位相的半共役写像で実現される』さらに,『2つの変換の共通の拡張になっているエルゴード的II∞型変換が存在しない,因子写像の任意の図式は,一意エルゴード的局所コンパクトカントル極小系間の位相的半共役写像の図式で実現される』ことも,B.Weiss氏による成果の類似として示すことができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の初年次における研究目的は,N.Ormes(1997年)による成果の類似物を,任意のエルゴード的II∞型変換において証明することであった.今回得られた成果は,申請書に記載していなかったが,本研究の目的に完全に沿うものであり,当初の目的に匹敵するものと考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
N.Ormes(1997年)による成果『任意のエルゴード的II1型変換はカントル極小系の任意位相的軌道同型類に位相共役表現可能である』の類似物を任意のエルゴード的II∞型変換において証明することを2年次の目的とする.また,その方策は申請書に記載した通りとする.
|
Research Products
(2 results)