2016 Fiscal Year Research-status Report
無限不変測度をもつエルゴード変換群の位相モデルの解明
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15K04900
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
湯浅 久利 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (50363346)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非原始的代入 / S-進性 / 線形再帰性 / ブラッテリ-ヴェルシック表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は以前(J.Anal.Math.vol.102(2007),143-180),非原始的代入から生成されるサブシフトを位相的再帰性と不変ラドン測度の観点から調べ,完全に解明することに成功している.特に,隣接行列の最大固有値と2番目に最大な固有値となりうる2つの量p,θを特定し,p>θのときには,サブシフトの不変ラドン測度は無限になることを得ている.さらに他方で,このサブシフトは殆ど極小になることも証明しており,R.Herman-I.Putnam-C.Skau(1992)の成果により,ブラッテリ-ヴェルシック表現可能であることになる.従って,本研究課題における,非原始的代入に関するある課題に関連して,p>θを満たす非原始的代入から生成されるサブシフトのブラッテリ-ヴェルシック表現を特定することは重要である.この問題は,講究録別冊(B58(2016),97-116)においても提起していた(問題4). 今回,この問題4を解くことに成功した.実際,p>θを満たす非原始的代入から生成される殆ど極小なサブシフトは,不動点の任意近傍に限れば線形再帰的であると証明することに成功し,さらには他の筒状集合への再帰性を評価できてたことにより,対応するブラッテリ-ヴェルシック表現がS-進性をもつことが証明できた.また,カントール代入は該当の族に属し,具体例として,そのブラッテリ-ヴェルシック表現を計算することに成功した.従って,原始的代入のときとはことなり,ブラッテリ-ヴェルシック表現は定常的ではないがS-進性は保たれることが解明されたことになる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度も含めこれまでの成果は,当初申請者に記載した内容とは異なるものではあるが,本研究課題に関連する基礎的な研究と考えられ,1年間で1課題の解決という当初の目標も達成されている.
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Strategy for Future Research Activity |
可能な限り当初策定の目標自体を解決することを目指す.必要であれば様々な研究者と交流を図り助言を得ることを考慮する.
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Causes of Carryover |
次年度に海外への出張を数回計画しているために出費を極力おさえた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として,数回海外へ出張するための旅費として使用する.また,国内の研究集会を開催するための資金としても使用する.
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Research Products
(2 results)