2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K05035
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
中西 康一郎 国立天文台, チリ観測所, 特任准教授 (60399277)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 爆発的星形成銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
近傍宇宙にある爆発的星形成銀河の観測を行い、新しい星形成指標を用いて星形成則を探ることが本研究の目的である。計画初年度の平成27年度は、天体観測データの較正処理と天体画像作成を中心として研究活動を行った。 アルマ望遠鏡による爆発的星形成銀河の観測は、本研究課題開始前に既に観測提案を行い採択済みであったが、予定よりもやや遅れた平成27年度前半に実施された。品質チェック済みの観測データは平成27年後半にアルマ東アジア地域センターから配布された。観測データの較正精度をより高めてより競争力のある成果を得るために、データを注意深く吟味した上で本研究の目的に最適な較正処理を改めて実施した。較正処理の後には、初期的な天体画像の生成に成功した。これは本研究の目標を達成し成果を得る上で重要なマイルストーンが達成できたことを意味している。天体観測データの処理・解析をより高速化し、また処理済データを保存する目的で高性能計算機を導入しており、天体画像の高品質化にも継続して取り組んでいる。 本年度中に得られた初期成果は、平成27年12月に大阪府立大学(大阪市)で開催された国際会議"East Asian ALMA Science Workshop 2015"において口頭講演にて発表した。 国内外の研究者との間で水素再結合線観測に関する研究交流・共同研究も進めており、共同研究の成果の一部は査読論文として平成28年度中に出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は、アルマ望遠鏡による観測データの処理を実行するための計算機環境を整備し、データの取得、再較正と画像合成までを行うことが当初計画であった。 実際には、観測データが入手でき、初期的な画像の生成まで当初計画どおりに実施できた。これは今後本研究課題を継続して実施し完遂する上で最初のマイルストーンを着実に達成できたことを意味している。 加えて、初期的な成果を国際会議において報告できたこと、共同研究の成果の一部が査読論文として平成28年度早々に出版される予定であることは、当初の計画以上の進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の第2年度(平成28年度)には、第1年度に取得した観測データの較正と画像作成を引き続き行う。データの処理手法を完成させると共に、初期成果の出版を目指す。 データの較正処理が完了し天体画像が得られれば、解析作業と詳細な解釈に移行する。天体画像から大質量星形成率と高密度分子ガスの正確な分布と量を取得し、星形成則の正確な推定、他の銀河との比較など、研究の主要部分に関わる作業を進める。爆発的星形成と通常の星形成の間に星形成則の違いはあるか、あるとすればどの程度違うのか、などの問いにより確実な回答を与える第一歩となると期待される。これらの成果は国内学会・国際研究集会等で発表すると共に、論文誌に査読論文として公表する。 新たに配布される予定のデータやアーカイヴから取得するデータの解析実行のために、計算機資源を増強する。天体画像の可視化およびプレゼンテーションのために、専用計算機を別途導入する予定である。この他、研究の成果を公表するための論文出版費、研究協力者との打ち合わせのための旅費にも研究費を使用する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた日本国内の共同研究者(北海道大学)との研究打合せを双方の都合により延期したため、当該年度使用額に余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度中に予定している国内共同研究者(北海道大学、筑波大学等)との研究打合せのための経費(旅費)に充当する。
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