2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K05080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 裕 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (10332165)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 活動銀河核 / 銀河団 / ブラックホール / 宇宙線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き、銀河中心の活動銀河核 (AGN) が、母銀河やその外の銀河団内空間に与える影響を観測と理論の両面から調べた。まず、近傍のペルセウス座銀河団の中心銀河 NGC1275 の AGN の高解像度電波観測を行った。具体的には、Very Long Baseline Array (VLBA) 電波望遠鏡のアーカイブデータを解析し、パーセク以下という極小のジェットが AGN の北側に誕生していることを世界で初めて発見した。この観測と、すでに観測されている南側に伸びるジェットの情報を組み合わせることで、ジェットから放出されるガンマ線が、これまで考えられていたメカニズムとは違うメカニズムで放射されていることを明らかにした。また AGN の周囲のガス円盤が非一様であることも示した。このことより、AGN で一度加熱されたガスが、冷却して AGN に降着される過程は、単純な球対称では記述できないことが明らかになった。銀河団環境についての研究も行った。銀河団からはシンクロトロン電波放射が観測されることがあるが、その放射を行っている宇宙線電子は、2次フェルミ加速により加速されているという説を我々は提唱している。今年度は1次フェルミ加速が行われている典型例とされている銀河団でも、2次フェルミ加速の方がより観測を忠実に再現できることを理論的に明らかにした。またこれまで観測が大変困難であった銀河団外周部のガスを観測できる新しい手法を提案した。さらに様々な銀河団のX線観測を行い、銀河団ガスの性質の違いについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
X線天文衛星ひとみの喪失に伴い、電波観測を行うことにしたが、結果として NGC 1275 でジェットの誕生を偶然観測することができ、AGN 活動とガス降着との関係の詳細を知ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も観測と理論を組み合わせた研究を遂行する。今年度も順調に学術誌に成果発表できたが、その結果として、投稿料や学会発表旅費がかさみ、予定していたワークステーションの購入は断念した。
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Causes of Carryover |
ワークステーションの購入に必要な金額が残らず購入を断念したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費、論文投稿料などに使用。
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Research Products
(21 results)