2017 Fiscal Year Annual Research Report
Co-evolution of galaxy clusters and black holes.
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15K05080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 裕 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (10332165)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 銀河団 / ブラックホール / 宇宙線 / ジェット |
Outline of Annual Research Achievements |
ブラックホールの活動が銀河団に与える効果として宇宙線による加熱が考えられている。その効果を推測するために、観測との比較が行いやすい、銀河系でのブラックホール活動で生成された宇宙線の伝搬について理論的に検討した。特にこの研究では、銀河系中心の巨大ブラックホール Sagittarius A* が 10^7 yr ほど前に活動して Fermi bubble を形成した可能性が高いことに注目した。その結果、この活動と同時に大量の宇宙線が加速されたとすると、現在地球に降り注いでいる高エネルギー宇宙線を説明できることが明らかになった。同等の活動が銀河団中心で起きていれば、宇宙線により銀河団ガスが間欠的に加熱されるはずである。 銀河団のX線観測も行った。まず銀河団 Abell 399、401 の間の連結領域をすざく衛星で観測し、宇宙の大規模構造形成に伴う衝撃波を発見した。これにより、理論シミュレーションが予想するように、銀河団間のフィラメントに物質が降着していることが明らかになった。さらに銀河団 Abell 3391, 3395 間の連結領域を観測し、重元素が太陽組成の 約0.3倍であることを明らかにした。この比較的大きい組成量は、銀河団が形成される前にブラックホールの活動により銀河から重元素が放出されたとするシナリオと一致する。またX線観測とすばる望遠鏡 Hyper Suprime-Cam の重力レンズ観測を組み合わせ、銀河団内のガスの正確な量を測定した。 ペルセウス座銀河団中心のブラックホール近傍から放出されるジェットの VLBA による高分解観測を行い、誕生したばかりのジェットのホットスポットが偏光していることを発見した。この結果は、ブラックホール周辺のガスは非一様に分布していること、そのガスとジェットが相互作用しており、ブラックホールの活動が銀河団中心部の進化に実際に強い影響を与えていること示している。
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Research Products
(20 results)