2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05111
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
槇田 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (30199658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 信弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 名誉教授 (50044780)
川井 正徳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 技師 (50391735)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ニオブバリヤ―の破れ |
Outline of Annual Research Achievements |
①超伝導特性の劣化調査 これまで、MgB2超伝導線材の巻線加工中の超伝導特性劣化の調査を進めてきた。熱処理前の曲げ歪4%以上で劣化することが前年度までに分かっていたが、より劣化を招く加工は線材の断面を圧縮変形させるときに生じることが、わかってきた。外部委託で内部構造をX線構造解析装置で観察していただいたところ、MgB2を囲むニオブバリヤーが破れ、熱処理時にマグネシウム(Mg)とホウ素(B)が結合していない箇所が見つかったが、さらに電子顕微鏡で精密に観察したところ、ニオブバリヤは筒ではなく板を丸めて筒状にしたものとわかり、バリヤ―破れやすくマグネシウムとバリヤーで隔てられていた銅が結合してホウ素とは結合しないことが分かった。バリヤ―がこのような構造のため、断面を圧縮(例えばローラーで挟んで張力を線材に与えて巻線をする)する力に敏感に反応するものと思われる。 ②コイルに用いる樹脂の調査 コイル巻線に使用する樹脂に関しては、真空含浸用の樹脂(有機)の選定をした。熱処理温度(約700度)にも耐える無機系の接着剤に関しては、使用しなくてもコイルを作成できるので調査を中断している。 ③コイルの試作 ダブルパンケーキコイルを、ワインドアンドリアクト法及びリアクトアンドワインド法で試作し、液体ヘリウム温度で励磁試験を行った。予想を上回る大きな劣化は起きていないこと、含浸レジンの選定は正しかったことを確認した。今後ソレノイド巻で薄肉円筒コイルの試作を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
別の外部資金で進めている、MgB2超伝導線の撚線による大電流化の研究と試験装置を共用していることと、そちらにもマンパワーを割いてしまって、本研究の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の粒子検出器用MgB2超伝導コイルは、ソレノイド巻による薄肉コイルとなる。これまでのダブルパンケーキコイルの経験を反映してソレノイド巻の試験コイルを製作する。
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Causes of Carryover |
MgB2超伝導線を対象とする他の外部資金研究へのマンパワー分散と本来の業務が多忙なため、粒子検出器用としてのコイル(ソレノイド巻のコイル)の試作が遅れてしまいました。鋭意コイル試作を進めて、冷却励磁試験を行います。機材類と線材は購入済みなので、残予算は実験時の雑費や発表のために使用します。
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Research Products
(1 results)