2016 Fiscal Year Research-status Report
荷電 K 中間子崩壊によるレプトン普遍性の破れ探索実験の解析及び補正
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15K05113
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
五十嵐 洋一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (50311121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 俊 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60294146)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / K 中間子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成 28 年度においては主に検出器の信号の解析が進められた。 ファイバーターゲットの理解: ファイバーターゲットのデータから静止 K 中間子の位置、レプトンの飛程の算出法の確立を行うことが出来た。崩壊粒子の運動量の解析: 検出器システムは磁場を挟んで 5 箇所で崩壊粒子の位置計測が出来るようになっている。これらの位置情報をから崩壊粒子の運動量を求めることが出来る。これに関する手法を確立した。現在の運動量分解能は標準偏差で 0.9% となっている。エアロジェルチェレンコフ検出器の解析: K 中間子 3 体崩壊から放出される陽電子を利用してエアロジェル検出器の補正を行い検出効率を向上させる手法の開発を行った。検出効率 98% 誤認識率 3% を達成できた。鉛ガラス検出器の解析: K 中間子 3 体崩壊から放出される陽電子及びミュー粒子を利用して補正を行った。検出効率 98% 誤認識率 3% を達成できた。TOF(飛行時間測定法): 二つの TOF カウンタ間の時間差の解析を行った。測定精度は補正後で 200 ps 程度である。CsI(Tl) 光子検出器の解析: 光子検出器からの信号は波形情報として記録されている。その波形情報からモデル関数によるフィッティングを用いて検出器で測定されたエネルギーと粒子が通った時間を求める手法の開発を行った。 検出器補正のための再試験: 実験データからファイバートラッカー、ファイバーターゲットの読み出しシステムに理解が困難な増幅率の減少や検出効率の低下が見られた。これらの現象の理解を行うために実験セットアップの一部の再現し、制御された光を検出器に入射を行い、どのようなことが起こるかの再現試験を行った。これにより読み出し用集積回路の理解が進み、検出効率の低下を最小にするような解析手法が確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析の進捗はほぼ予定通りに進行している。 目標としていた検出器信号の理解及び補正に関しては光子検出器を除きほぼ完了した。イベントの崩壊モードの同定は出来るようになってきている。それにより、K→eν イベントが収集されていて分離できることが確認できた。光子検出器に関しても手法の確立や解析方法の開発はほぼ出来ている。後は複数の信号が同時に来た場合の合成された波形情報から適切なエネルギー、時間の抽出を行うための手法の開発であるが、ほぼ確立しつつあり、条件やパラメータの最適化、高速化などを残すのみである。Geant4 を用いたモンテカルロシミュレーションの開発に関しては若干遅延しているが、既に開発されている Geant3 を用いたモンテカルロシミュレーションを併用して解析は進めることが出来ている。 予定通りに実験データでは良く理解できなかったファイバーターゲット等の検出効率の低下など現象に対し、読み出し機器の再試験により機器の特性を理解することが出来、それらを補てんして解析する手法を確立できた。 検出器システムの解体、撤去に関しても順調に終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な検出器の理解が済んだことで、今後は PID(粒子識別) の精度を高めるための研究を中心に行う。 本実験の検出器システムは TOF、エアロジェル検出器、鉛ガラス検出器の 3 種の PID 検出器を持ちそれぞれがある効率で PID 可能である。これらの検出器の出力からそれぞれ確からしさを算出し最尤的な手法で PID を行う手法の開発を行っていく。 また並行して、光子検出器の出力を用いてバックグラウンド事象となるラディエイティブ崩壊の理解と評価を行っていく。 同時に、米国ハンプトン大学の共同研究者と協力して Geant4 を用いたモンテカルロシミュレーションの開発をすすめ、検出器システムのアクセプタンスの評価、バックグラウンド事象の評価を行っていく。 最終的にはシミュレーションと実験データを相補的に用いて誤差の評価を行い、K→μν と K→eν 崩壊の分岐比の比を求めていく。 プレリミナリーなものであっても一応を物理結果を出すことを目標とする。
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Causes of Carryover |
ファームウェア・ソフトウェア開発費が当初の見積もり金額よりも安く済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
打ち合わせ、研究発表等のための旅費等に用いる予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Initial results from the PIENU experiment2017
Author(s)
T. Sullivan, A. Aguilar-Arevalo, M. Aoki, M. Blecher, D.I Britton, D.A Bryman, D. vom Bruch, S. Chen, J. Comfort, S. Cuen-Rochin, L. Doria, P. Gumplinger, A. Hussein, Y. Igarashi, S. Ito, S.H Kettell, L. Kurchaninov, L.S Littenberg, C. Malbrunot, R.E Mischke, T. Numao, D. Protopopescu, A. Sher, D. Vavilov
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Journal Title
Hyperfine Interact Proceedings
Volume: 238 no. 1, 3
Pages: -
DOI
Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Search for massive neutrinos in π+→e+νeπ+→e+νe decay2017
Author(s)
S. Ito, A. Aguilar-Arevalo, M. Aoki, M. Blecher, D.I. Britton, D.A. Bryman, D.vom Bruch, S. Chen , J. Comfort, S. Cuen-Rochin, L. Doria, P. Gumplinger, A. Hussein, Y. Igarashi, S. Kettell, L. Kurchaninov, L. Littenberg, C. Malbrunot, R.E. Mischke, T. Numao, D. Protopopescu, A. Sher, T. Sullivan, D. Vavilov
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Journal Title
Hyperfine Interact Proceedings
Volume: 238 no 1, 3
Pages: -
DOI
Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] The design and basic performance of a Spiral Fiber Tracker for the J-PARC E36 experiment2017
Author(s)
O. Mineev, S. Bianchin, M.D. Hasinoff, K. Horie, Y. Igarashi, J. Imazato, H. Ito, H. Kawai, S. Kodama, M. Kohl, Yu. Kudenko, S. Shimizu, M. Tabata, A. Toyoda, N. Yershov
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Journal Title
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A
Volume: 847
Pages: 136-141
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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