2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05277
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
長谷川 直 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 主任研究開発員 (10399553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上塚 貴史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (30613509)
臼井 文彦 神戸大学, 理学研究科, 特命助教 (30720669)
高遠 徳尚 国立天文台, ハワイ観測所, 准教授 (50261152)
宮田 隆志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90323500)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小惑星 / 含水鉱物 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京大学理学系研究科天文学教育研究センターは南米チリ共和国北部アタカマ砂漠のチャナントール山頂標高5640mの地上最高地点に天文台 (東京大学アタカマ天文台) の建設を進めている。この観測サイトは非常に乾燥した気候で、宇宙からの赤外線を吸収する水蒸気が大気中に少なく、天体が放つ赤外線を観測するのに適し、太陽系内天体の含水鉱物・水氷・吸着水といった水に関連する物質の計測には、地上で最も優れた観測サイトである。この東京大学アタカマ天文台内に設置される口径6.5m望遠鏡に搭載予定の中間赤外分光撮像装置MIMIZUKUに、近赤外分光チャンネルの設置を行うことによって、地上から最も精度の高い小惑星の3ミクロン帯の含水鉱物・水氷・吸着水の分光観測が行えることを目指している。
平成29年度では、MIMIZUKU内に近赤外分光チャンネルの設置を行った。光学調整・動作確認を行い、想定している性能がて出ていることを確認した。 その後、ハワイ観測所に小惑星近赤外分光装置がついたMIMIZUKUが移送し、MIMIZUKU の検出器搭載を進め、光学系や検出器性能の評価試験を行い、その結果光学的に十分な性能が実現されていることを確認した。一方で近赤外線検出器の動作が不安定で、感度が十分に出ていないことも確認された。このため、近赤外線検出器は原因究明のために現時点での搭載を見送ったが、装置自体はハワイ観測所すばる望遠鏡における試験観測のためにハワイへ輸送し、動作確認を行った。 装置制作途中ではあるが、関連論文の執筆も行い、外部発表等も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れている理由は、TAO 計画の進捗および MIMIZUKU の開発が、科研費申請時の計画と比較してやや遅れていることにある。
科研費申請時の計画では、平成 27 年度 MIMIZUKU 完成、平成 28 年度すばる望遠鏡での MIMIZUKU の性能評価、平成 29 年度ですばる望遠鏡での公募観測、平成 30 年度での TAO 望遠鏡完成と MIMIZUKU のインストールを予定していた。平成 29 年度末の進捗状況として、MIMIZUKU は日本での開発を完了し、すばる望遠鏡への輸送を完了した段階にある。輸送後の性能評価試験においても良好な性能を見せており、装置自体には問題がないことを確認している。しかし本研究に必要となる近赤外線検出器について不具合が確認され、原因の究明と対応が必要な状況となっている。TAO 望遠鏡については日本国内での組立試験が完了し、平成 30 年度末の初期観測実現と平成 31 年度からの科学運用の実現を目指し計画を進行中である。当初の計画で予定されていた平成 31 年度の TAO における小惑星の近赤外線観測を実現すべく、平成 30 年度はこの近赤外線検出器の調整とすばる望遠鏡での MIMIZUKU 本体の性能評価を並行して進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成 30 年度は、平成 29 年度に確認された近赤外線検出器の不具合の解決と、すばる望遠鏡での MIMIZUKU 本体の性能評価試験を行う予定である。前者は本研究で予定する近赤外線観測の実現に必須の作業であり、後者についても MIMIZUKU の観測制御プログラムの開発や、本研究のかなめとなる新機構 Field Stacker を用いた観測手法の確立といった重要な項目を含んでいる。これらを着実に実施し、平成 31 年度には正常に動作するようになった近赤外線検出器を搭載し、TAO での観測を実現する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由):端数が生じたので、次年度以降に持ち越す。 (使用計画):消耗品・旅費等に使用予定。
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