2016 Fiscal Year Research-status Report
ジルコノライトのREE・アクチノイド分配と，年代学研究への応用
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15K05343
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| Research Institution | Yamaguchi University |
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Principal Investigator |
志村 俊昭 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (70242451)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 岩石・鉱物・鉱床学 / 地殻・マントル物質 / 地質学 / 廃棄物処理 / 惑星起源・進化 / 年代学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
近年，ジルコン年代学が急速に発展しているが，ジルコンは珪酸塩鉱物であり，SiO2に枯渇した岩石には産しない。そのような岩石中のZr・REE・Th・Uは酸化鉱物に分配されることになる。その典型例が，ジルコノライトである。本研究は，ジルコノライトのREE・アクチノイド分配様式を解明し，SiO2に枯渇した高温岩石の絶対年代の研究とともに，高レベル核廃棄物処理の基礎研究ともなるものである。
志村は，南極セール・ロンダーネ山地から，新鉱物マグネシオヘグボマイト2N4Sを発見した（Shimura et al., 2012）。この岩石中に，ジルコノライトが含まれている。このジルコノライトは，バッデレイ石・ジルコン・コランダムのような，カソードルミネッセンスを示す鉱物と共生することが多い。そこでCL検出器を用い，組織や鉱物共生を詳細に記載し，元素濃度分布と形成反応を解析する。
そこで、現有のCL検出器を、EDS検出器と同時使用できるように、取付構造を改造した。納入状態ではCL検出器は試料の上に水平に挿入されており、CL検出器を挿入するためにEDSの作動距離よりも試料位置を下げなければならず、EDSとの同時使用が不可能であった。
精密な設計図を自分で作成し、山口大学工学部のものづくり支援センターに作成を依頼した。2016年度に改造に成功し、現在はCL検出器とEDS検出器の同時使用が可能となった。これにより鉱物記載の効率が飛躍的に向上した。並行して、南極、セール・ロンダーネ山地産のジルコノライトの化学分析を進めた。REEやアクチノイドなど多様な元素を含むため、３５元素の精密な定量分析が必要であった。現在ほぼ十分な精度の定量分析に成功しつつある。その結果、Y・REEが半分以上占めているサイトがあるらしいことが分かってきた。現在は置換関係などの解析を進めている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CL検出器の改造は当初計画では２７年度内に実施予定であった。想定外の技術的な問題があり半年遅れたが、２８年度に当初の改造計画はほぼ成功した。
定量分析については、分析機器のソフトウェア上の制約から、３０元素以上の分析は不可能であった。１年前の報告では少なくとも３３元素の定量が必要であったとしたが、研究対象の鉱物は３５元素の精密定量分析が必要であることがわかった。これも想定外の事であり、遅れが生じていた。しかし２８年度にこの問題は解決し、３５元素の定量分析に成功した。現在さらに定量精度を上げるため、特性X線の干渉補正など、細部の改善に取り組んでいる。その結果、Y・REEが半分以上占めているサイトがあるらしいことが分かってきた。現在、置換関係の解明など、さらに詳細な解析を進めている。
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| Strategy for Future Research Activity |
CL検出器の改造については、２８年度までに当初の目的はほぼ達成した。今後、これに光学フィルタを装填するなど、さらなる改造に挑戦したい。これができれば、さらに精密な記載が可能となる。
研究対象の鉱物について、現在は置換関係の解明などに取り組んでいる。予察的検討では、Y・REEが半分以上占めているサイトがあるらしいことが分かってきた。これを確認するには、結晶構造解析も行う必要がある。しかし、（１）南極の山岳地域の試料であることから、サンプルの再採取が困難、（２）試料が微細で少ない、（３）メタミクト化している、などの理由で、結晶構造解析が難航しそうである。現有の試料から分析に必要な量をどのようにして分離し、確保するのかが課題である。
困難は予想されるが、精密化学分析と結晶構造解析をすすめ、REEやアクチノイドがどのように分配されいているのかさらに研究を進める。これがわかれば、高レベル核廃棄物の処理・保管の問題に貢献できると思われる。
並行して、この鉱物での絶対年代測定に挑戦し、SiO2に乏しい岩石の年代学にも貢献したい。
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| Causes of Carryover |
残額は化学分析に使用する薬品などを購入し使い切る予定であった。しかし年度末になって、分析データを保存していた機器に想定外のトラブルがあった。復旧はできたが、これに予定外の出費がかかった。このため、予算残額が5,913円のみとなり、購入したい物品の金額を下回り、発注できなくなった。この残額を有効に使うには、次年度に繰り越して使う方が良いと判断した。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
化学分析に使用する薬品など、物品費として使用する。
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Research Products
(7 results)
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[Book] Geology of Japan2016
Author(s)
Nakajima, T., Takahashi, M., Imaoka, T. and Shimura, T.
Total Pages
536 (251-272)
Publisher
Geological Society of London
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