2016 Fiscal Year Research-status Report
異常小角X線散乱法による超臨界混合溶液のゆらぎ構造の研究
Project/Area Number |
15K05376
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森田 剛 千葉大学, 大学院融合科学研究科, 准教授 (80332633)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 小角X線散乱 / 超臨界流体 / エネルギー変調 / 異常分散 / ゆらぎ / 超臨界混合系 |
Outline of Annual Research Achievements |
実際に、高圧下におけるエネルギーを変調させての小角X線散乱測定を行った。本実験は、溶液の濃度や熱力学状態依存性も含めて実施された。吸収係数や透過率の関係で、高圧セルに改良を施し、十分なS/Nを得られるよう工夫し、ダイヤモンド窓部のシール機構に関しても、独自に開発し当研究室にて加工される純金製のシール材に加え、白金と白金-イリジウムの合金系を複合化し安定した測定が可能となるよう改善を行い、実験を成功させた。これは、室温に限らず高温条件にも適応させられることを確認した。線源となる放射光のX線エネルギー範囲の関係で、臭素元素を含む系について、溶液状態での測定を実施した。エネルギーは10-13 keV程度に設定し、X線エネルギーを変調させ、開発したフォトダイオードを組み込んだ吸収係数同時測定装置により吸収特性と確認しながら、散乱測定を実施することを達成した。バックグランドとして変調分を抽出することや特殊条件下での解析が可能であることを確認することができた。以上は、現在、発表論文として出版を準備している。ただし、以上は臭素元素を含んだ溶媒溶液中の実験であって、超臨界状態にあるキセノン-クリプトン系などには適応できていない。クリプトン-キセノン系の高圧試料セルは構築に成功しており、変調実験における必要X線エネルギーを確保すること、より低エネルギー域での十分なS/Nを確保する試料長を当試料長可変型セルで達成できれば、研究を推進できると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高圧セルの特に窓部において、新しく単結晶ダイヤモンドをシールする機構を開発し、試料長の安定性、および金、白金、白金合金の複合材により高いS/Nでの測定が可能となるよう改良を行うことができた。また、X線エネルギーの変調実験については臭素元素に対してではあるが、解析可能であることを高圧(含む高温)にて実施し確認することができた。さらに、具体的に放射光施設において、変調状態での吸収特性を取得することができた。以上は、異常分散を用いた本研究課題において重要な進展であると考えられるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、X線エネルギーの関係で臭素元素に対する変調実験を行っており、臭素元素を含む系に対して、超臨界流体の測定を実施する。一方で、キセノン-クリプトン系の実験のため、高エネルギーX線源が得られるステーションなどを用いて、3種のゆらぎのパラメータを分離解析できるよう実験を実施する予定である。また、混合状態の解析のため、リバースモンテカルロ法などのシミュレーションも組み合わせることで、具体的な混合状態や超臨界二成分溶液のゆらぎ構造に関して解明を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
旅費経費が節約でき、消耗品費の購入経費が安価になったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の研究推進に対する経費として使用させて頂きます。
|