2016 Fiscal Year Research-status Report
白金性能を超える新規[NiFe]ヒドロゲナーゼの電子伝達機構の解明
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15K05566
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尹 基石 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 准教授 (50701497)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒドロゲナーゼ / 水素酸化活性 / 酸素安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒドロゲナーゼは、水素酸化及び水素発生反応を行うことができる金属酵素であり、その優れた機能を水素利用技術へと応用する研究が大変注目されている。しかし、ヒドロゲナーゼは酸素暴露後に失活するという問題点がある。我々は今まで、「酸素耐性」を示す新規ヒドロゲナーゼの探索と、その生化学的な特性とタンパク質結晶構造解析を行っている。実際、我々は、阿蘇くじゅう国立公園から通性嫌気性細菌Citrobacter sp. strain S-77株を単離した。本新規細菌S-77株から「高水素酸化活性と高酸素安定性」の両特性を併せ持つ新規「NiFe」ヒドロゲナーゼ([NiFe]S77)を細胞膜から精製し、その生化学的な特性解析を行った。また、その精製酵素を用いた固体高分子型水素燃料電池(PEFC)の創製を行い、水素酸化反応において本酵素が白金を遥かに超える優れた触媒性能を示すことを世界で初めて実証した)。現在、我々は本S-77株の全ゲノムの解析(約5.2 Mbp)に成功し、本細菌には二種類の異なった酸素安定性「NiFe」ヒドロゲナーゼの存在を確認している。ゲノム解析の結果によって、本新規[NiFe]S77には既存のヒドロゲナーゼとは異なる鉄硫黄クラスターの存在が予測されることから、タンパク質結晶化などによるその詳細な構造と機能の解析を行っている。これまでの研究結果から、「NiFe」ヒドロゲナーゼの酸素安定性には電子伝達機能を示す小サブユニットが重要な役割をしていると考えられる。現在、新規に得た酸素安定型「NiFe」ヒドロゲナの構造解析とその酸素耐性機構の解明を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規[NiFe]S77のタンパク質結晶化とその解析、また、酸素耐性機構の解明などおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果によると、新規酵素[NiFe]S77の4量体の複合体(HybC、HybO、HybB、HydA)の精製とその電子受容体と思われるHybBとHydAの単離精製は極めて困難である。そこで、[NiFe]S77の結晶構造解析とその生化学的な特性解析などによる新規[NiFe]S77ヒドロゲナの酸素耐性機構の解明に挑みたい。
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Causes of Carryover |
予定した旅費と人件費・謝金などを節約することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
直接研究経費(物品費、研究成果発表、論文投稿など)に活用し、最終年度の研究成果発表などを充実させるために使用したい。
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Research Products
(4 results)