2017 Fiscal Year Research-status Report
高延性接着剤を使用した接着継手の粘塑性構成式による疲労強度の推定
Project/Area Number |
15K05742
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Research Institution | Hiroshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
吉田 哲哉 広島商船高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (20182769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧口 三千弘 広島商船高等専門学校, 商船学科, 教授 (10163346)
徳田 太郎 広島商船高等専門学校, 商船学科, 准教授 (20425143)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 接着剤 / 高延性接着剤 / 継手強度 / 疲労強度 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高延性かつ高強度の接着剤を使用した接着継手の疲労強度をシミュレーションにより推定することを目的とする。具体的には、脆性破壊挙動を示すエポキシ樹脂系接着剤と大きく特性の異なる高延性アクリル系接着剤を用いた接着継手について疲労試験を行い、その破壊挙動の観察と顕微鏡による破壊面の観察により、破壊のメカニズムを解明する。そして、接着層の損傷を表現できるような繰返しせん断変形を考慮した材料モデル(構成式)を構築し、その材料モデルを用いてシミュレーションにより接着継手の疲労強度の推定を行う。 29年度は、28年度に超高速デジタル画像センサが故障した為、十分に実行できなかった高延性接着剤を使用した接着継手の疲労実験を行った。島津油圧サーボパルサを用い、繰返し負荷下の接着層の損傷と加工軟化に注目して実験を行った。実験条件を温度20度、周波数(繰返し速度)を0.67Hz、2Hz、6Hzの3条件、最大応力を12MPa、16MPa、18MPaの3条件とした。微小な接着層のせん断ひずみの累積を正確に観察する為の測定方法を検討し実施した。 材料モデルの構築では、従来の材料モデルでのシミュレーション結果では、表現することができなかった接着継手破断前におけるせん断ひずみの急激な増加を接着層に生じる損傷を考慮した材料モデルを使用することで表現できるようになった。 これまでの研究内容を日本接着学会第55回年次大会(6月15日・16日)のポスターセッションで、P46B「高延性接着剤を用いた単純重ね合わせ継手接着層の疲労強度推定」としてまとめて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
疲労試験は、28年度にひずみの累積を観察する為の超高速デジタル画像センサが故障した為、接着層のせん断ひずみ進展挙動を詳細に観測することが十分にできなかったが、29年度は、画像センサの修理が済み温度20度で周波数(繰返し速度)を3条件で、最大応力も3条件で高延性接着剤を使用した接着継手の疲労実験を行い、接着層のせん断ひずみ進展挙動を詳細に観測することができた。 シミュレーションは、接着層に生じる損傷を考慮した材料モデルによるシミュレーションを行い、実験結果と比較検討し、材料モデルを再構築し、高延性接着剤を使用した接着継手の疲労強度の推定を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーション結果と実験結果の比較検討の為に必要な実験を継続して行う。さらに、温度の影響を考慮する必要があることが明らかになったので、温度を変化させ疲労試験を行う。同時に温度の影響を考慮した材料モデルを再構築しシミュレーションを行い、高延性接着剤を使用した接着継手の疲労強度の推定を行う。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、平成29年度に海外の学会で成果発表を行うこと予定していたが、実験機器(超高速デジタル画像センサ)の故障により研究が遅れ、また、修理費が必要となった為に計画していた外国旅費を使用した為、次年度使用額が生じた。
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