2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05756
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
西澤 宇一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80553221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 太郎 木更津工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (20259823)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | モータ / 医療・福祉 / ステント / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ステントモータの開発を目指している。ステントモータは超音波振動のエネルギを振動源から受け取る受信部(レシーバ部)と駆動力として出力するステータ部から構成される。これまではレシーバ部の形状をスリットのある円筒型とし、ステータ部の形状をコイル型としていた。前年度の反省としてレシーバ部で受け取る振動エネルギの不足が挙げられる。そこでレシーバ部の形状をスリットのない円筒型とし、スリットのある場合と振動の振幅の大きさを比較した。両レシーバに対して固定周波数の超音波を照射し、振動の振幅をレーザ変位計により計測した。その結果、スリットのない場合における振動の振幅の大きさは、スリットのある場合の3倍程度であることが分かった。ゆえに、スリットのないレシーバがステントモータのレシーバとしてより適していると言える。 次に、スリットのないレシーバを使用してステントモータを作製し、駆動実験を行った。人工血液や人工血管の入手は難しいため、本研究ではそれぞれの性質に近い水とシリコーンチューブを用いる。シリコーンチューブ内にステントモータを挿入し、水中に設置した。レシーバ部に振動源の先端を配置し、超音波振動の照射を行ったが駆動には至らなかった。原因としてレシーバにコイル型のステータを接続したことでステントモータが共振しなかったことが考えられる。振動の振幅が一番大きくなるのは共振時であるため、一体となったステントモータが共振するよう改良する必要がある。 さらに、ステントモータをモデル化し数値シミュレーションを行った。水中における物理現象を考える際、水の付加質量を考慮する必要がある。そこで実験結果などを踏まえて水の付加質量を算出した。今後の数値シミュレーションでは水の付加質量を考慮して実施することができるため、より実現象に近いシミュレーション結果を得られることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・レシーバ部の開発:ある周波数に固定した超音波を照射したときに共振するレシーバ部を設計し作製した。レシーバ部の共振を確認できる実験装置を構築した。レシーバ部で受け取る振動エネルギの不足が懸念されるため、スリットのある円筒型とスリットのない円筒型を比較した。結果として、スリットのない場合における振動の振幅の大きさは、スリットのある場合の3倍程度であることが分かった。 ・ステントモータの開発と駆動実験:スリットのないレシーバを使用してステントモータを設計し作製した。ステントモータの駆動実験を行うため、人工血液と人工血管に見立てたシリコーンチューブと水を用いた実験装置を構築した。しかし、実験を実施したが駆動には至らなかった。原因としてステントモータとするためレシーバにコイル型のステータを接続したことで、単体では共振していたレシーバが共振しなかったことが考えられる。 ・数値シミュレーション:ステントモータをモデル化し数値シミュレーションを行った。水中における物理現象を考える際、水の付加質量を考慮する必要があるため付加質量を算出した。今後の数値シミュレーションでは水の付加質量を考慮して実施する。
いくつかの問題は生じているが原因が分かっているため開発に遅れはないと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ステントモータを作製し駆動実験を行ったが駆動には至らなかった。一体となったステントモータが共振するよう改良を行う。一方、超音波の振動源の変更は難しいため、超音波振動のエネルギを受け取り易くなるようにレシーバ部の形状を工夫することやエネルギが相対的に大きくなるようにステントモータ自体を小さくすることなどを考えている。並行して数値シミュレーションを実施することで試作コストを節約する。
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