2015 Fiscal Year Research-status Report
ペンタンと冷媒ガスとの2成分系混合物のPρTx性質の精密測定と熱力学モデリング
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15K05837
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
宮本 泰行 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80348820)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 冷媒 / PρT性質 / 飽和蒸気圧力 / 飽和液体密度 / 状態方程式 / 気液平衡性質 |
Outline of Annual Research Achievements |
冷媒ガスに混合する予定のイソペンタンおよびペンタンについて、実測値情報の不足を補う新たな熱物性計測を、広い温度および圧力範囲で実施した。イソペンタンについては、温度:280 K~440 K、圧力200 MPaまでのPρT性質実測値に加えて、飽和点近傍の実測値からそれぞれ計6点の飽和蒸気圧力および飽和液体密度実測値を取得した。これらの測定不確かさは温度:3 mK、圧力:1.43 kPa~0.2%、および密度0.11%であった。また、文献値との同一温度・圧力における直接測定の比較結果から、本実測値の高い信頼性と意義が確認できた。なお、一連の成果は国際誌に論文投稿し、受理(Accepted, 2016年3月19日)された。加えて、超臨界域(600 K以下)におけるPρT性質測定も、両物質について実施中である。これまでに、イソペンタンについては状態方程式のリニューアルに有効な実測値が得られており、測定完了し次第実測値をフィッティングに用いるとともに、国際誌に順次論文投稿する計画である。また、ペンタンの測定も順次実施し、両物質について平成28年度中の国際標準式の整備を目指したいと考えている。 一方で、CO2/イソペンタン混合系の気液平衡性質についても、温度300 K~330 Kにおける高精度な沸点および露点圧力実測値が解明でき、相関したPeng-Robinson状態方程式を用いて理論熱効率の組成依存性を解明することができた。これらの成果も論文投稿するとともに、今後の実験計画の立案にも生かし、さらに効率的な研究を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り中温域(~440 K)の測定装置により、イソペンタンの実測値情報を従来の文献値よりも高い精度にリニューアルすることができた。さらに、より高温域(~600 K)の範囲においても実測値が大変順調に取得できたが、従来よりも格段に精度が高く、式の成立範囲の拡大にも貢献するものであった。これにより、式の作成が当初の予定以上に順調に進み、国際標準となり得る式の完成が近づいた。 一方で、新たに取得した気液平衡データに基づいた3次関数型状態方程式を用いた計算結果から、CO2の混合比がある程度増加すると、理論熱効率が向上する可能性が高いことも確認でき、混合系の密度測定の際の組成調整計画の立案にも生かせる成果が得られたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
イソペンタンについては、平成28年度内において、国際標準となりえるHelmholtz関数型の状態方程式の完成を目指す。なお、成果は国内外の研究者と共著にて、今年10月の国際学会での発表と論文投稿を目指している。なお、ペンタンについても、順次測定および状態方程式の整備を計画している。 一方、気液平衡については、CO2/イソペンタン混合系の測定が終了後直ちにCO2/ペンタン混合系の測定に着手する。これら両混合系について、理論熱効率の組成依存性を解明したうえで、今後の混合系の密度測定の際の組成範囲の計画立案等に、生かしたいと考えている。
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Research Products
(5 results)