2017 Fiscal Year Research-status Report
ペンタンと冷媒ガスとの2成分系混合物のPρTx性質の精密測定と熱力学モデリング
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15K05837
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
宮本 泰行 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80348820)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 次世代冷媒 / PρT性質 / 飽和蒸気圧力 / 臨界点 / Helmholtz関数型状態方程式 / 気液平衡性質 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、イソペンタンおよびペンタンについてのHelmholtz関数型状態方程式の開発を進めた。2017年7月にはNISTのLemmon博士(熱物性計算ソフトREFPROPの開発者)の研究室(コロラド州ボルダー)を訪問し、開発方針等に関する打ち合わせを行った。本モデルの開発に用いる入力値として、本研究室で昨年取得した温度範囲600 Kまでの超臨界域におけるPρT性質実測値(未出版)に加えて、産業技術総合研究所およびドイツ・Helmut Schmit 大学の研究者から、それぞれ未公開の気相域PρT性質実測値および液相域の音速実測値の提供を受けたことで、国際標準クラスの状態方程式を開発する上で断然有利な状況となった。REFPROPの次期バージョンは開発が遅れておりいまだ発売されていないが、このバージョンに標準モデルとして実装することを目標としている。 測定については、混合系の超臨界域におけるPρTx性質実測値の測定中にベローズ容器が塑性変形を起こしてしまったため、修理後、現在校正実験をやり直しているところである。校正式をリニューアルしたのち、高温域における混合系の測定に着手する計画である。また、イソペンタンの臨界点ごく近傍のPρT性質および臨界密度の高精度データを取得する目的で、現在装置を整備中である。 さらに、気液平衡性質については、CO2/ペンタン混合系、HFC32/イソペンタン混合系、およびHFC32/ペンタン混合系についての測定を予定しており、現在はガスクロマトグラフの検量線の作成を体系的に実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究室で昨年取得したPρT性質実測値(未出版)に加えて、2017年度に産業技術総合研究所およびドイツ・Helmut Schmit 大学の研究者から、それぞれ未公開の気相域PρT性質実測値および液相域の音速実測値の提供を受けたことで、国際標準クラスの状態方程式を開発する上で断然有利な状況となり、また両物質について国際標準の式をリニューアルするという本研究の有意性も高まった。さらにNIST・Lemmon研究室では状態方程式開発に関して日々新たな知見が蓄積されている状況にあるが、申請者が2017年7月にLemmon研究室を訪問できたことで、状態方程式開発に最新技術を活用できる好ましい状況となっている。 またイソペンタンを含んだ2成分系混合物については、気液平衡性質の高精度測定に関するノウハウが順調に蓄積できたため、今後はより効率的かつより信頼性の高い実測値の取得が期待できる状況にある。さらに混合物に関するHelmholtz関数型状態方程式の混合則パラメータを相関する技術についてエキスパートである、NISTのBell博士からも情報提供を受け、混合物モデルについても開発を有利に進めることができる好ましい状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
イソペンタンおよびペンタンについて引き続き、国際標準となり得るHelmtoltz関数型状態方程式の完成を目指す。成果は国内外の研究者と共著にて、国際誌への論文投稿を計画している。さらに、本状態方程式をREFPROPの次期バージョンに実装することを目指す。 一方、気液平衡については、引き続きCO2/ペンタン、HFC32/イソペンタン、およびHFC32/ペンタンの各混合系について、ガスクロマトグラフの検量線を高精度に作成したうえで、気液平衡性質の測定を継続する。また、実測値が蓄積でき次第、理論熱効率の組成依存性を解明したうえで、今後の混合系の密度測定の際の組成範囲の計画立案等に、生かしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
(理由) 初年度に購入したイソペンタン、ペンタン、およびCO2の高純度試料を、今年度も引き続き活用することができた。そのため試料代として当初予定していた予算を温存することができた。 (使用計画) 高純度試料、ガスクロマトグラフ用のヘリウム、および液体窒素の追加費用として活用する計画である。また、差額は計測・制御ソフトの購入や、装置内で試料の凝縮を防止するヒーターの増設などにも、有効に活用する計画である。
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Research Products
(4 results)