2015 Fiscal Year Research-status Report
機械的機能を電気的機能に置き換えた力覚を有する次世代型ロボットの開発
Project/Area Number |
15K05871
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
立花 邦彦 高知工科大学, 工学部, 助教 (10747794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 喜雄 高知工科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50299369)
岡 宏一 高知工科大学, 工学部, 教授 (10160649)
渡橋 和政 高知大学, 医歯学系, 教授 (70204295)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マスタ・スレーブ / 力覚 / 位置制御 / バイパス回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械的に移動量の拡大・縮小を行うのではなく、電気的に行うための基礎実験装置を製作し、実験により変更可能であることを確認した。具体的には、ギア比率の異なるモータでの組み合わせ、出力の異なるモータでの組み合わせ、さらに、これら2種類の組み合わせによる実験を行った。モータ出力軸角度を測定しているエンコーダの分解能による最小角度の限界があり、それよりも小さな角度精度で軸位置を制御することはできないが、誤差がエンコーダの最小分解能以下で制御することができることを実験により確認した。用いた制御は古典手法であるPID制御である。この実験から、どのようなモータの組み合わせであっても電気的に移動量の拡大・縮小を行うことが可能であることを確認した。 力覚を可変するための方法として、モータと並列にバイパス回路を接続するための実験装置を製作し、実験によりその効果を確認した。可変抵抗による方法、デジタル方式でバイパス時間を制御する方法、アナログ方式でバイパス時間を制御する方法の3種類について実験を行った。これらの方法で、モータに流れる電流を分流することにより、モータが発生する力を任意に変更可能であることを確認した。これら3種類の方法に関しての論文を執筆中である。 モータに組み合わせる機械式減速機では軸出力に摩擦によるヒステリシスが生じること、駆動機構において多段の動力伝達を行うと軸受け等による摩擦により動力損失の増大や位置誤差の増大が生じることが分かった。また、機械式減速機を磁気式減速機に置き換えると、機構の質量が増加することも分かった。これらの事から、試作機は極力、直接駆動となるように試作機の機構の設計を進めた。また、制御は古典制御で十分な性能を得ることができることが分かったので、試作機には実験で使用した制御を用いることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
バイパス回路として可変抵抗を使用すること、デジタル方式でバイパス時間を変更する方法までは、研究開始時点ですでに構想があったが、さらにアナログ方式でバイパス時間を変更するという、新たな方法が確立したことで、力覚を可変することに関して、柔軟な対応が可能となった。また、位置制御に関しては、高い精度で行う事が可能であることが確認できた。これらのことから、電気的定数を変更するだけで、マスタとスレーブでの移動量や力覚を変更することが可能であることが確認できた。 機械式減速機を排除した試作機の検討を進め、計画設計が完了した。シミュレーションでは問題が無いが、試作機を用いて実際に官能実験を行ってみないと、装置全体として問題がないのかの評価はできない。操作部は一般的な無動力鉗子を扱う場合と同様の操作により行うことができるように計画した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画設計を行った試作機の製造設計を行い、これをもとに試作機を製造し、官能実験により力覚変更の有効性や操作性等についての評価を行う。実際に動かしてみなければ分からないこともあり、問題点や改良点が発生した場合、その都度対策を施し完成度を高める。制御は古典制御により行うことで進めているが、現代制御を用いることでさらに制御性能が向上するのかの検討を平行して進める。 本年度は、試作機を医療従事者により評価してもらう前段階までとし、可能な限り試作機の完成度を高めることに注力する。
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Causes of Carryover |
基礎実験を行うための実験装置の製作に必要な材料、部品等の購入品はおおむね予定していた金額であった。外注加工を予定していた実験装置用部品は、学内に新たに導入された加工機により製作できることになり、費目をその他(外注加工費)から材料購入のための物品費に振り替えとした。学会出張を28年度に変更したことから、旅費に関わる経費が繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金の内、物品費は試作機の製作に必要な材料や部品の購入に使用する。 試作機製作のため、物品費にて材料や部品等を購入するとともに、その他の費目では学内で加工できない部品を外注にて製作する。また、学会への参加を計画しており、旅費の支出が発生する予定である。
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Research Products
(3 results)