2015 Fiscal Year Research-status Report
地震動履歴を有する火山灰盛土の積雪・融雪期の不安定化機構の解明と維持管理法の確立
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15K06205
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
川村 志麻 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90258707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 聡 国立研究開発法人港湾空港技術研究所, その他部局等, その他 (20748305)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 斜面崩壊 / 積雪寒冷地 / 地震動 / 降雨 / 盛土 / 火山灰質土 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地震動履歴を受ける積雪寒冷地にある火山灰質盛土の積雪期・融雪期の崩壊メカニズムを解明し、火山灰粗粒土で構築された盛土の危険度評価手法を提案することを目的とする。一連の研究では、実物大盛土による現地計測、室内模型実験、数値解析の結果をもとに、降雨災害に対する簡易危険度評価法並びに管理基準法を提案している。しかしながら、東北地方太平洋沖地震などの被災経験から、地震動履歴の影響を取入れた危険度評価手法の必要性が指摘されており、未だ未解明な部分が多い。ここでは保有している振動載荷装置に積雪・融雪の影響を考慮できる模型実験装置を試作し、それらの実験結果と現地計測結果、実際の被災事例にもとづいて、積雪寒冷地における火山灰質盛土を対象にした実務に適用可能な危険度評価手法および施工管理法を確立する。 今年度に実施された模型実験および解析結果、現地計測結果より、次の結論を得ている。(1)積雪時に形成される凍結層は、融雪期の盛土の力学的不安定化を導く。(2)地震動によって発生するせん断ひずみ量及び初期含水比の違いは、降雨時の盛土の崩壊形状ならびに破壊に至るまでの力学挙動に影響を及ぼす。(3)凍結融解履歴と地震動履歴によって発生するせん断ひずみ量を適確に評価することは、積雪寒冷気候下にある盛土の安定性を議論する上で重要である。(4)崩壊時含水比と初期含水比の関係を基本にした盛土の安定性評価法を提案した。(5)新たに試作した振動載荷型-積雪・融雪再現装置により、人工的に雪を再現した。また、室内模型実験における人工造雪方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に計画していた現地計測と盛土崩壊事例の検証、振動載荷型-積雪・融雪再現装置の試作、ならびにそれを用いた火山灰質盛土の模型実験の実施について、ほぼ計画通りに遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も研究計画通りに実施する予定である。特に、平成27年度までに得られた現地計測結果にもとづいて、試作した振動載荷型-積雪・融雪再現装置による浸透崩壊実験を実施する。その崩壊過程で発生する可能性のある内部浸食崩壊は、X線CTスキャンを駆使し、そのメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
分担者が行うパイピング試験およびX線CTスキャンにおいて、使用する装置の整備に時間がかかり、予備実験を実施できなかった。そのため、実験遂行に伴う消耗品費(物品費)に残金が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この金額については、翌年分の物品費(消耗品費)と合算し、パイピング試験およびX線CTスキャンの実施において、使用する計画である。
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Research Products
(4 results)