2017 Fiscal Year Research-status Report
市街地活性化事業の波及効果を導く目標指標と計画手法・波及メカニズムの実践的検討
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15K06266
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
柴田 久 福岡大学, 工学部, 教授 (40352083)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中心市街地 / 活性化 / 最終フォローアップ / 指標 / 結合性 / 時間価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず前年度までに行った中心市街地活性化基本計画の平成27年5月末時点で実施済み96地区を対象とした最終フォローアップ報告の傾向分析、「販売額」が基準値より改善した4地区に対するヒアリングおよび現地踏査の結果を再整理したうえで、前述した96地区(94市)へのアンケート調査を実施した。特に本調査では上記前年度までの分析結果ならびに中活計画の実態を踏まえ、時間価値評価の有用性について考察した。その結果、以下3つの考察が成果として得られた。 1)定量的指標が一時的・短期的な評価に偏っている可能性が見受けられ、定量的指標のみでは活性化を測れないといった中心市街地活性化の評価に関わる実態が把握された。2)アンケート調査の分析結果から、活性化における時間価値は重要との認識がある反面、時間価値評価の制度的導入に対しては計測方法や定義の確立が第一の課題といえることが明らかとなった。3)時間価値を加えた活性化指標の拡充が活性化方針自体の自由度と自治体ごとの独自性を促し、活性化そのもののあり方を市民と共に再考できる契機として有用と捉えられることが指摘された。 さらに実践的検討として大分県津久見市における観光周遊性創出事業を事例に、社会実験プロセスの詳述と中心市街地活性化を目的としたまちなか拠点形成のあり方について考察した。その結果以下の考察が成果として得られた。 1)社会実験による拠点形成はまちづくり活動を支える組織の樹立と行動力の強化に寄与する重要な試行であること。2)社会実験による拠点形成はそれまで個別に行われていたまちづくり活動を束ねる装置として機能する一方で、実験前の助走期間として地道なまちづくり活動の重要性が指摘された。3)拠点施設を設置する際にはその後の運営組織の体力を考慮し、適正な施設数・規模にしておくことの重要性が実践的に確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
94市に対するアンケート調査の実施において、調査書の回収ならびに回答結果の整理、分析に時間を要したため、研究全体のとりまとめ作業が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度内においてとりまとめの作業を完了させ、市街地活性化事業の波及効果を導く目標指標と計画手法、メカニズム等について最終的な考察を導くものとする。またこららについて順次、各種学会論文等への投稿を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
最終年度のとりまとめ作業が遅れたため、本年度に当該作業にかかる経費として、さらに学会発表等の出張旅費として使用する。
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Research Products
(3 results)