2015 Fiscal Year Research-status Report
環境装置の地域内シェアリングによるエネルギーレジリエンスの高い持続可能都市の構築
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15K06272
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
吉田 登 和歌山大学, システム工学部, 教授 (60263224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 祐吾 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30379127)
つる巻 峰夫 和歌山工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (40413819)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シェアリング / 災害廃棄物 / 下水汚泥 / 連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大規模な自然災害や気候変動に伴うリスクに対応する、地域でのエネルギー分野の対策(エネルギーレジリエンス)を高める方策を検討することを目的とする。特に既存の土木・環境インフラという資源ストックを地域内で共有(シェアリング)することによる連携をキーワードとしている。 H27年度は、まず自然災害へのレジリエンスをはかる基盤的な情報構築をはかるため、GISを活用して、地域の資材ストック量から、災害廃棄物を種類と地域分布を考慮して予測する手法を検討した。ケーススタディとして和歌山県日高川町を対象地域とし、2011年の台風12号による水害での災害廃棄物量について検討を行った。分析の結果、発生量の実績値に対して資材ストック量や予測廃棄物量の予測値を得ることができた。 次に、気候変動リスクへの対応として、和歌山市を対象とし、汚泥処理の集約化や現有焼却炉代替の高温焼却および汚泥燃料化技術の導入に加え、ごみ焼却施設での混焼(ごみ焼却インフラの地域内シェアリング)によるエネルギー消費量、GHG排出量の削減効果をシナリオ別に評価した。その結果、ごみ焼却施設に下水汚泥の焼却機能を統合することは,汚泥焼却の集約化を図る計画よりも環境負荷低減効果が高いこと、ごみ焼却施設での焼却機能統合に併せて廃熱回収による汚泥乾燥熱源の確保することでさらに環境負荷低減効果が高まること、汚泥処理の集約化と汚泥処理施設への汚泥燃料化技術の選択によって、エネルギー消費およびGHG排出量を大きく削減可能となることなどを明らかにした。 さらに、全国規模での下水処理場と産業工場との連携(地域内シェアリング)がエネルギーレジリエンスを高めることによる、下水汚泥燃料化と石炭代替に伴うGHG削減効果を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画に掲げた、自然災害及び気候変動の両者のリスクに対応する、地域でのエネルギー分野の対策(エネルギーレジリエンス)を高める方策について、具体的な定量的な事例分析を実施し、査読論文を含めて研究成果を外部に公表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、シェアリングだけでなく太陽光パネルや車載蓄電池などの機器リユースを介したエネルギーレジリエンスの社会展開のポテンシャル検討についても、研究を進めて行く。また、自然災害や気候変動などのリスクだけでなく、地域の生活インフラの維持リスクにも対応するレジリエンスは重要である。そのため、研究計画を堅持しつつ、さらに地域内の環境インフラの連携、シェアリングにより、地方のウェットな生活系廃棄物バイオマスの処理インフラを維持しつつエネルギー回収を図る方策にも対応する研究を展開してゆく。
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