2017 Fiscal Year Research-status Report
新規空調設備を有する手術室建造の有用性に関する研究
Project/Area Number |
15K06323
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
臼杵 尚志 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (90232834)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 手術室 / 体温 / 術中低体温 / 空調 / HEPAfilter |
Outline of Annual Research Achievements |
【手術室環境】2016年1月竣工の手術室8室について、統一条件下の温度測定を行った。すなわち、術者向け層流を21℃、術野向け層流を25℃に設定したところ、術者肩位置(術者立ち位置の床から150cmの位置(左右))では21.8±1.1℃と21.9±1.5℃、術野(手術台の上)では23.7±1.0℃と術野位置で約2℃ほど高い温度であった。 【患者情報】次に、患者体温を古い手術室で実施した例と新しい手術室で実施した例について比較した。大腸手術例の手術開始30分後60分後90分後までの温度変化は、旧手術室(83例)で-0.45±0.35℃、-0.48±0.39℃、-0.43±0.42℃であったのに比し、新手術室(93例)では-0.18±0.24℃、-0.06±0.34℃、+0.05±0.39℃と明らかな有意差を認め、これは男女別に分けた検討でも同様であった。さらに、手術開始時から開始後10~100分までに体温が0.5℃以上低下する頻度について、同様に旧手術室の例と新手術室の例で比較した。各症例10分毎に100分までの測定で、評価可能時点は各例10ポイントであるが、手術の中断等で測定できていない時点もあることから、評価できたのは旧手術室で793ポイント、新手術室では927ポイントであった。旧手術室で手術を実施した症例(83例)で0.5℃以上の体温低下は376ポイント(47.4%)であったのに比し、新手術室では85ポイント(9.2%)であった。こちらも同様に男女別に比較しているが、男性で42.7%vs9.1%、女性で53.1%vs9.3%とやはり有意の差を認めた。同様の検討を食道癌手術例、胃癌手術例についても検討しているが結果は同様であった。 【現在時点での結論】本院手術室の新しい発想の下で設置した空調設備は鏡視下手術時の適正な体温保持に有用と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手術室環境の精密な測定を実施することができ、新しい空調の有用性が確認できた。また、手術症例に対する効果についても症例の集積が進んでおり、現時点で収集できている情報からは、やはり新しい空調の有用性が確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに解析を終えている症例のデータを収集した以降にも、検討対象となる手術症例は蓄積されてきていることから、今後はそれらの症例も合わせてより大きな母集団についての検討を行う。また、これまでの情報からある程度の有用性が確認でき、更なる情報収集でそれらの裏付けが可能になると予想できることから、この研究結果を発信すべく論文化を進めている。
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Causes of Carryover |
平成29年度に、それまでの研究成果を国際学会で発表すべく準備をしていたが、その国際学会の直前に、研究代表者自身の身内に不幸があり、学会への参加ができなかったため。
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