2016 Fiscal Year Research-status Report
建てない時代に求められる建築関連職能に対応した、ワークショップ型建築教育の調査
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15K06349
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
元岡 展久 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (60329646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 孝重 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20151342)
平田 京子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (70228782)
長澤 夏子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (70308188)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ワークショップ / PBL / 建築設計教育 / デザイン教育 / まちづくり教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、国内外の大学でデザインワークショップ型の建築設計教育の取り組みが増え、地域貢献や国際化教育の点からも注目されている。2015年度は、国内大学におけるワークショップ型建築設計教育の状況を把握するため、全国の建築系大学に対しアンケート調査を実施した。ひきつづき2016年度は、このアンケート調査を分析し、現状と問題点を把握した。その結果は、建築学会大会(学術講演梗概)並びに建築学会建築教育シンポジウム(論文報告)で発表した。既に設計教育でワークショップという手法が広くなされている現状を確認するとともに、ワークショップの教育目的と内容、および参加学年との関連を考察した。 これらの調査分析で得た知見を参考に、に2016年夏、お茶の水女子大学、パリラヴィレット建築学校の学生の参加のもと、パリ第一大学の教員を招聘し建築設計の国際ワークショップを実践した。これまでは運営側へのアンケートからの調査分析をおこなっていたが、この実践を通じて、参加者側からの捉え方や意見を調査した。 ワークショップでの課題内容もさることながら、運営上の問題点が浮かび上がった。国際ワークショップをおこなう場合、大学間のカリキュラムの調整、ならびに予算上の問題、時間上の問題が大きい。実際のワークショップ開催時間に比べ、調整、準備作業に膨大な時間がかかる点で、教員への負担が大きい。また産学で目的が一致することはまれで、成果を社会に反映させるのは難しい。 今後は個別ケースについてヒアリングを通じ、成功事例の手法を検討したい。さらに、大学院生など上級学生にとっては、ワークショップを受けるという教育だけでなく、ワークショップをおこなう側としてプログラムを考えだすことも教育になりえる。ワークショップの運営を、「ワークショップを企画運営するワークショップ」と捉え、学生の主体的な教育プログラムになるような方法を考えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の状況把握するために前年度におこなったアンケート資料の分析を進めた。その結果を建築学会大会で発表するとともに、建築教育シンポジウムで論文発表をおこない、国内での情報共有を進めることができた。これらの知見を参考にしつつ、2016年度は実際に国際ワークショップを開催することができ、具体的な問題点を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、特徴的な事例を個別にヒアリング調査し、その教育の効果や社会への反映の方法について分析したい。最終的には、これらワークショップ型教育の目標は、どのような人材を育成するかに関わっており、建築系学科の卒業学生の進路調査との関連も考察する予定である。 さらにPBLを用いた教育は、建築教育分野にとどまることではない。細分化された工学分野では分野ごとの専門教育の一方で、問題解決の方法やプロセスを学ぶ総合的なワークショップやPBLは重要と考えられる。他分野の工学教育でなされている事例についても、個別事例のヒアリング調査をおこない、教育効果、問題点などの比較分析としてまとめたい。
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Causes of Carryover |
国際ワークショップの企画、調査のための海外旅費を計上していたが、実際は、別途機会の活用や、メール等の利用により、計上旅費を用いた渡航を行わなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの調査を参考に、論点を絞った国内事例の再調査、ならびに、個別事例のヒアリング調査に費用(旅費、謝金)を計上する。
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Research Products
(3 results)