2015 Fiscal Year Research-status Report
センサネットワークとBIMの連携による維持管理のための建物の情報化とその利活用
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15K06364
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大西 康伸 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (20381006)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 維持管理 / ファシリティマネジメント / センサネットワーク / BIM / ウェブ / データベース / IoT |
Outline of Annual Research Achievements |
建物維持管理業務の高度化(維持保全コスト縮小、長寿命化、省エネルギー化、室利活用高度化、防犯高度化)を目指し、「センサネットワークを用いた維持管理データベースの自動構築」、「当該データの横断的分析とBIMを用いた分析結果の視覚化」を可能とする一連のシステムの開発を本研究の目的とする。 本研究の特色は、1)センサネットワークによってデータを自動収集し建物の「今」を自動データベース化する、2)BIM技術と融合させたウェブシステムで当該ビッグデータの分析結果を視覚化する、3)実在建物において開発システムを試験運用する、の3点である。 今年度は、以下について研究を行った。1)センシング・無線通信技術、センサネットワークの活用事例を調査し、それに基づき、センサネットワークのプロトタイプ装置を製作した。2)センサ装置の設計・製作を次の通り進めた。1.Arduino、ZigBeeを採用し、専用基板・筐体の設計を行った。2.今年度は管理運用情報の取得を目的とし、室内外環境(温度、湿度、照度、CO2)計測センサを搭載した。3.有床病院及びオフィスビルにおける評価実験に向けたセンサ装置の配置計画を行い、センサ装置の製作を行った。 3)センシングデータの視覚化を主目的とするウェブシステムを開発した。具体的には、建築透視図画像をベースにセンシングデータを視覚化するシステムと、3Dモデル上にセンシングデータを視覚化するシステム(既開発のBIM活用維持管理ウェブシステムを改良)の2つを開発した。4)センサ装置の配置計画に基づき、実在する建築に配置した(有床病院は1フロア、オフィスビルは2フロア、ともに約20ヶ所)。試験的に運用する中で、センサ装置の評価、各ウェブシステムの評価を行った。5)センシングでは記録できないデータのシステムへの手入力を支援するため、巡回・点検結果のタブレット入力支援システムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、2015年度の目的はセンサ機器及びセンシングデータ視覚化のためのウェブシステムのプロトタイプの作成であった。しかし、プロトタイプだけでなく、有床病院及びオフィスビルに設置するためのセンサ機器を製作、設置したのち、3ヶ月程度の試験運用を行っており、当初の計画以上に進展していると言える。 一方で、設備や仕上などの維持保全情報のセンシングが試行できていないこと、建物維持管理業務の高度化のために情報を横断的に分析することがあまり進展していないことから、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、有床病院及びオフィスビルでの開発システムの試行を継続すると共に、不具合やヒアリング結果に基づき開発システムを改良する。 また、維持保全情報のセンシングの試行を行う。加えて、センシングデータのより直感的な把握を可能とするユーザインターフェースの開発や、建物維持管理業務の高度化のためのセンシングデータの横断的な分析をウェブシステムに実装する。 最終年度である2017年度は、実践的運用結果を踏まえたシステム評価及びシステム普及に向けた提言を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2015年度に予定していたデータ入力用ワークステーションの購入を2016年度に変更し、その代わりにサーバを2016年度に購入した。差額を主に調査や試行実験打合せ、センサ機器メンテナンスのための旅費に使用した。研究費の執行に変更が生じたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は作業用ワークステーションの購入を予定しており、次年度使用額については問題なく執行可能である。
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