2018 Fiscal Year Research-status Report
ルネサンスの理想都市に見る中近世の都市空間の変容に関する研究
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15K06404
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
片山 伸也 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (80440072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 香代子 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (00597065)
赤松 加寿江 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 講師 (10532872)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 都市史 / 都市形成史 / イタリア / 中世 / ルネサンス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、これまでに収集した文献資料による分析を中心に行った。また、9月にはフィレンツェ、ヴェネツィア、レッジョ・エミリアにて資料の追加収集と街路空間の補足調査を行った。フィレンツェについては塔状住宅の立面調査を行い、これまでに行ったルネサンス期パラッツォのファサード類型との比較分析を行った。また、類型と分布の相関性をルネサンス期フィレンツェの入市式に関する赤松の先行研究を参照しながら考察を行った。レッジョ・エミリアについては、これまでに収集した地籍図および連続平面図をもとに、ポルティコの類型化とその位置について再度検証し、レッジョ・エミリアの都市形成過程との相関性について分析するとともに、ルネサンス期におけるポルティコのロッジア化についての考察を行った。 ルネサンス期の建築論についてはAISU(イタリア都市史学会誌)、SAH(米建築史学会誌)を中心に先行研究の収集を行った。建築史上の建築家という職能については、15・16世紀のイタリアでアルベルティらによって社会的に地位の高いものとして位置づける一連の動きが指摘されているが、理想都市論の展開に大きな影響を与えた特に16世紀以降の軍事建築家たちの理論とそれ以前の「建築家」たちとの思想的相違については未だに十分に考察されていないと言える。ウィトルウィウス的建築論における理想都市と軍事技術的理想都市については、パルマノーヴァおよびマルタ島ヴァレッタに関する先行研究から考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究助成採択後に、関連学会の専門研究部会幹事業務ならびにシンポジウムの企画等、学外の学会活動における業務が 増大したことにより、本研究に避けるエフォートが減少したため、特に理想都市論の原典ならびに論考の精読について 進捗の遅れがある。調査を行ったフェラーラおよびレッジョ・エミリアにおける都市空間の変容について、理想都市論 を踏まえた考察を加えた成果報告のまとめのための時間が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに調査を行ったフィレンツェ、レッジョ・エミリアについて知見をルネサンス理想都市論に関する考察を加えてまとめ、学会論文として公表する。
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Causes of Carryover |
調査結果のまとめ作業にかかわるアルバイトの謝金および印刷経費などの支出が、研究の遅延とともに消化されなかったため、当該費用分が次年度経費として残った。 今後、データベース作成作業の謝金並びに論文投稿費として使用する予定。
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