2015 Fiscal Year Research-status Report
測地尺分析とGISソフトによる古代・中世の港湾都市景観の復原的研究
Project/Area Number |
15K06415
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
藤田 盟児 広島国際大学, 医療経営学部, 教授 (20249973)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中世都市 / 測地尺 / 造成時期 / GIS / 景観復原 / 鞆の浦 / 尾道 / 杵築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、前回の科研費で研究した福山市の鞆の浦地区、尾道市の旧市街地、大分県杵築市の旧市街地の3つの港湾都市における測地尺分析の結果を、歴史的景観復原などに使用されているGISソフトに取り込み、さらに発掘調査の遺構データや微地形データ、海面の変動データなどを重ねて入力し、各データの整合性を検討することで各時代の市街地形状を復原し、もって中世港湾都市の視覚的実態を描くことを可能にする方法を検討することである。 ここでいう測地尺分析法とは、既存の中世都市研究方法では不可能だった地上に残された街区形状から、それらの造成時期を探る方法である。我が国の歴史上、街区の計画や造成時の測量に用いられた測地尺、つまり1間の寸法は、平安末から鎌倉初期の7尺程度から、室町時代には6尺5寸前後、太閤検地は6尺3寸、江戸幕府の基準尺は6尺1分と、しだいに縮小していったと推定される。したがって中世都市の街区は、それらが造成された時代の測地尺をつかって測量あるいは造成されたのであり、その時代の測地尺でなければ計画寸法は判明しない。そこで、旧市街地の状態が良く保存されている都市で、今は路地になっている中世の街路(その多くは近世の絵図に描かれている)から街区の幅を実測し、その実測寸法を7尺から6尺までの1寸刻みの寸法で割って「間」寸法に換算した値をみて、当該街区に最も整合する測地尺を見出し、その測地尺の長さを根拠に造成時期を推定する方法である。 今年度の作業は、既に測地尺分析が終わっている鞆の浦・尾道・杵築の詳細な地理データを入手してGISソフトに入力し、そこに各市街地の様々なデータを入力してみることと、尾道においては国土地理院の地理データと市街地の実測値の整合性を検討することを行った。また、発掘調査のデータを入手するため各都市の発掘担当部局へ出張し、遺構面等の情報を入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度なので地理データの入手と入力、そして実測データとの照合、GISソフトによるデータ分析の可能性の検討など、今後の研究進展のベースになる作業を順調に進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
GISソフトの利用方法として、当初考えていた景観的復原だけでなく、敷地規模や高度別利用法など、より詳細で学術的な分析に役立つ利用ができるのではないかと考えて、様々なデータを入力して検討している。次年度は、その点をまとめて最終的な成果のあり方を都市史研究者などと協議しながら詰めていきたい。
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