2016 Fiscal Year Research-status Report
新しい定電流型熱線流速計の開発と超音速乱流混合場の解明と制御に関する研究
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15K06606
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
坂上 昇史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70244655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 隆景 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10175945)
西岡 通男 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (60081444)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 航空宇宙流体力学 / 超音速乱流 / 超音速混合遷移 / 熱線流速計 / 乱流境界層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,非定常流中の熱線の瞬間熱損失を計測できる新しい定電流型熱線回路を用いた超音速乱流混合場の混合定量計測法を開発・確立し,超音速乱流混合場を支配する混合遷移機構を解明して混合促進制御の鍵となる知見を得ることを主な目的とする.
熱線による乱流混合計測の原理は,同一点(と見なせる位置)で熱特性の異なる2本の熱線の瞬間熱損失を計測し質量流束と濃度の瞬時値を得るものである.本年度は,まず,混合計測において必須の2線式プローブを製作し,熱特性の異なる熱線を使用して亜音速・超音速乱流境界層を計測して,各熱線が捉える流れの同一性について検証した.その結果,平均分布・変動実効値分布についてはよく一致することが確認された.また,各熱線が捉える瞬間の流れについては,スケールの大きな亜音速乱流境界層の場合はほぼ同じであることが確認できた.しかし,境界層が薄い超音速乱流境界層の場合,流れのスケールに対する熱線間隔の影響を強く受けて各熱線が捉える流れの相関が低下するという問題点を確認した.
熱線を定電流動作させた場合,流速によって熱線の加熱度が変化し,気流中で所望の加熱度になるように調整する必要があるが,通風時の加熱状態で風洞を停止すると熱線が焼き切れてしまうため,加熱状態を適切に変化させなければならない.通風時間が限られる超音速風洞で2線式熱線プローブを用いて同時計測する場合,その調整を効率化する必要があり,アナログスイッチやデジタル可変抵抗等を利用した電圧調整回路を熱線回路に組み込みマイクロコンピュータを用いて制御する自動計測システムを設計・製作した.その結果,計測法を大きく効率化することができた.しかし,使用した素子の仕様により電圧調整を完全に自動化することはできておらず,さらなる改良が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱線による乱流混合計測では,熱特性の異なる2本の熱線の瞬間熱損失を同一点(と見なせる位置)で同時計測する必要がある.混合計測において必須の2線式プローブを製作し,異なる熱損失特性を有する熱線を用いて乱流場の同時計測を行い,それぞれの熱線が捉える流れの同一性について確認し,その問題点を明らかにした.また,超音速流を2本の熱線で同時計測するときに問題となる計測手順の効率化については,自動計測システムを設計・製作し,その有効性について確認した. 以上のことにより,本研究は,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
1.2線式プローブを用いた同一点同時計測による質量流束と濃度の計測において,それぞれの熱線が捉える流れの同一性が問題となる.2本の熱線間隔は,対象とする流れのスケールに対して十分小さくする必要があるが,現状の2線式プローブは,流れ場によってはまだ不十分であり,これを改善するとともに,2本の熱線を近づけたときのそれぞれの熱損失特性に及ぼす相互の干渉の影響について検討する.
2.熱線計測では,既知の流れを用いて熱線を校正する必要がある.流速を容易に変化させることが可能な亜音速風洞と異なり,超音速風洞は流速(質量流束)の変化が容易ではない.このため,超音速流中での熱線の校正には,風洞壁に発達する乱流境界層分布を用いていた.しかし,超音速乱流混合計測では,濃度と質量流束に対して校正する必要があり,組成が既知である複数の混合気体を用い,質量流束を変えて熱線の熱損失を計測しなければならない.このとき,気流の状態は実際の計測時の条件とできるだけ近いことが望まれる.乱流境界層を用いた校正は,計測時と同様の気流状態を利用できるが,大量の混合気体が必要となる.混合気体を有効に使用し,計測時と同様の気流状態で必要な質量流束範囲が容易に得られる校正用超音速風洞を設計・製作し,実際に熱線を校正して,その有効性を確認する.また,本年度設計・製作した自動計測システムを改善し,校正・計測のさらなる効率化を図り,超音速乱流混合場の計測を行う.
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Causes of Carryover |
学内の会計処理の都合で,年度末の執行締め切りが前倒しされたため,納期との兼ね合いで未執行分が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
熱線プローブや熱線回路等の製作費に充当する.
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Research Products
(9 results)