2016 Fiscal Year Research-status Report
放射線照射下の表面励起効果を考慮した腐食促進機構の解明
Project/Area Number |
15K06675
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
小河 浩晃 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (10414559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井岡 郁夫 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (10354804)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線励起反応 / 放射線分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度では、Co60ガンマ線照射による水の放射線分解挙動をpH法と電気伝導率法によって測定を実施した。水の放射線分解によるpHの低下及び電気伝導率の上昇が、明確に測定できた。さらに、pHの低下と電気伝導率の上昇との間にも、明確な相関関係が確認できた。具体的には、Co60ガンマ線源から、約3.5m離して、それらを測定した場合、約40分間で、緩やかなpHの低下及び電気伝導率の上昇が確認できた。しかし、それらの値は、平衡値にならなかった。次に、約20cm離した距離で、約40分間照射した場合、急激なpHの低下及び急激な電気伝導率の上昇が確認できた。それらの値は、一時的に平衡値になった。ところが、放射線照射のため、スターラーが故障しており、その影響も、それら測定値に含まれていることに注意が必要である。なお、水の温度は、照射前後で、±2℃程度であるため、それら測定データへの影響は、無いと考えられる。こられの挙動は、本件提案書に記載している表面励起挙動の反応モデルを裏付けるものである。実炉を想定すると、さらなる高強度の放射線照射環境下となるため、材料の腐食挙動は、本件提案モデルに近づくものであると考えられる。非常に興味深い測定結果が得られてきており、炉内環境下の腐食挙動解明に、新しい展開が見込まれる。H29年度(最終年度)では、さらに詳細にデータ取得を実施する。具体的には、時間単位の照射、pH標準液の使用、水中への分散物の添加等を実施し、本件提案モデルを実験的に実証して行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非常に興味深い結果を得てきている。しかし、測定機器類は、放射線照射に曝されるため、故障する。このため、一時、放射線照射試験を中止せざるを得ない状況となり、それは、実験の遅延につながる。H29年度は、耐放射線機器類を選定するなどし、データ取得に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度では、最終年度でもあることから、論文発表につながるデータ取得に努める。具体的には、pH測定及び電気伝導率測定の高度化、表面励起反応の促進が期待できるガラスビーズの分散、過酸化水素の影響、炭酸ガス混入によるpH低下等を詳細検討し、系統的なテータ取得に行う。なお、放射線照射によって電子機器類が故障するために、耐照射線機器類の選定を進める。
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Causes of Carryover |
放射線照射によって、測定機器類がダメージを受けて故障しており、照射回数が少なくなった。それにより、出張費が少なくなった。また、現在のところ、耐放射線用測定機器類の入手の見込みがないため、改めて、自作等を検討する必要がある。しかしなから、次の「使用計画」に示すように、改善策を立案し、H29年度前期に、H28年度に取得する必要があった実験データを取得する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度(通年):放射線用測定機器類の自作費用に使用する。H29年度4月-9月:月1回以上の照射試験費用に使用する。H29年度10月-H30年度3月:前期の結果を詳細検討し、論文作成に必要となるデータ取得に係る実験費等に使用する。H30年度3月:3年間の実施報告書作成費に使用する。
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