2015 Fiscal Year Research-status Report
多孔体担持化学蓄熱材の超高性能化およびこれを用いる超高出力化学ヒートポンプの開発
Project/Area Number |
15K06692
|
Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 藤雄 愛知工業大学, 付置研究所, 教授 (70109312)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
架谷 昌信 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50021788)
小林 敬幸 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90242883)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 蓄熱 / 化学蓄熱 / 化学ヒートポンプ / 多孔体 / 酸化カルシウム / 回転型蓄熱器 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高性能多孔体担持型化学蓄熱材(PSM)装填蓄熱器からなる超高性能化学蓄熱・化学ヒートポンプ(CHP)の開発を目的として,1)新たな伝熱フィン型蓄熱器の原型となる金属多孔体に着目したCa(OH)2高密度担持法,2)新規に提案した回転型蓄熱器の有効性,の2検討を行った. 1)では,空孔径(45~430μm)の異なる4種の金属多孔体(空隙率0.84~0.93)を使用し,Ca(OH)2スラリー真空加圧含浸法によるCa(OH)2担持実験,ならびにこの試料の水和反応特性評価を行った.Ca(OH)2担持量は繰返し担持回数の増大,Ca(OH)2粒子径の減少,スラリー粘度の低下に伴って増大し空孔容積基準で最大40.1vol%を得た.また,10回の繰返し水和反応に対して十分な反応性の維持を確認した.このことより,金属多孔体Ca(OH)2担持化学蓄熱材の有効性が示された. 2)では,回転蓄熱器で構成される模擬CHPによるCaOの水和過程の熱出力評価を,回転数(4~16rpm),CaO装填量(最大層高20~28mm),CaO粒子径(最大層高100~500μm)を変化させた条件下で行った.回転系の水和反応速度は静止系の最大1.3倍になることを認めた.これは回転系では反応が層内で一様に進行することによる.また,熱出力は回転数の増大,CaO充填量の増大,およびCaO粒子径の減少に伴って増大し,最大2.1倍になることを認めた.これは静止系に比べて回転系の蓄熱材層内熱抵抗が減少したことによる.因みに,蓄熱材層内熱抵抗は回転数の増大,層高の増大,粒子径の減少によりそれぞれ静止系の0.6~0.4倍,0.6~0.38倍および0.6~0.08倍となった.このことより,回転型蓄熱器が高熱出力型蓄熱器として機能することが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カーボン多孔体CaO担持化学蓄熱材の精密空孔制御法による超高性能PSMの合理的製造法の検討に関しては,とくに樹脂成型化の熱処理温度条件が初期空孔構造を支配する因子の一つであることが新たに指摘され,この温度制御法を確立する手法の検討を新たに加えた検討を進めている. 一方で,新たに提案した金属多孔体に関してはCa(OH)2の粒子径を小さくすること,スラリー粘度を小さくすることで現段階では空孔容積基準で最大40.1vol%のCa(OH)2の担持割合を得ており,一定の進捗を確認している.しかし,高担持量化を達成するためには小空孔径空孔内へのスラリー浸入をさらに促進させる必要がある.このための手段としてスラリーの表面張力を低減する手法を提案し,現在その検討に入っている.また,新規に提案した回転型蓄熱器による熱出力評価の検討では,限られた実験結果のもとでその有効性が示唆されたが,この普遍性を立証するにはさらに広範囲の実験条件下のデータ採取が必要になる.
|
Strategy for Future Research Activity |
カーボン多孔体CaO担持化学蓄熱材で新たに指摘された初期空孔構造を支配する樹脂整形体化熱処理温度条件となる昇温速度,到達温度,保持時間を種々変化させた試料を試作し,空孔分布の測定結果に基づく最適成型体化の条件を明らかにし,その後,当初の計画に沿ってカーボン多孔体CaO担持化学蓄熱材の精密空孔制御法による超高性能PSMの合理的製造法の検討を行う.
|
Causes of Carryover |
水和反応速度の測定では申請者が試作した真空熱重量分析装置を使用して行っている.この装置に付設されている蒸発器が多回の使用により気密漏洩が発生し,この交換が必要になる.交換する蒸発器は本装置固有の特注品であり,その製作には107,000円程度が入用になる.しかし,本年度の残額ではこれに対応できないため,この交換品を次年度の経費と合わせて支出することが余儀なくされる.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の残額1,722円については気密漏洩が発生した真空熱重量分析装置に付設の蒸発器の製作費に充てられる.
|
Research Products
(1 results)