2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of development of oligodendtocytes in autism-related mouse model
Project/Area Number |
15K06753
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
服部 剛志 金沢大学, 医学系, 准教授 (50457024)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グリア細胞 / アストロサイト / オリゴデンドロサイト / 自閉症スペクトラム / 発達障害 / 社会性 / 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
CD38遺伝子欠損マウスは、社会性記憶や子育て行動などの社会性行動の異常を呈する。また、近年、自閉症の発症メカニズムに、ミクログリアやアストロサイトなどのグリア細胞の機能異常が関与していることが報告されてきている。我々は、自閉症の病態とグリア細胞の発達異常の関係を解明するために、CD38欠損マウスにおけるグリア細胞の発達を解析した。 CD38は生後の脳発達期において強く発現し、特にグリア細胞の一種であるアストロサイトで特に強いことが明らかとなった。CD38欠損マウスにおいては、アストロサイトマーカーの発現量やその細胞形態に異常が認められた。さらに解析を進めた結果、アストロサイトの発達異常はオリゴデンドロサイトの分化にも影響を与えていることが明らかとなった。アストロサイトに発現するCD38はNAD消費酵素であるが、CD38はNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を消費することにより脳内のNAD濃度を減少させる。NADはアストロサイトにおけるギャップ結合たんぱく質、コネキシン43(Cx43)を抑制し、その結果、オリゴデンドロサイトの分化を抑制する働きを持つ。よって、CD38欠損マウスにおいては、通常より高濃度のNADが、アストロサイトにおいてCx43の発現を抑制し、それによりオリゴデンドロサイトの分化を抑制することが明らかとなった。 以上の結果は、自閉症病態におけるグリア細胞の発達異常の重要性を示唆する。今後は、いまだ明らかになっていない、グリア細胞の発達異常が神経機能や行動異常に与える影響を明らかにしていく必要がある。
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Research Products
(7 results)