2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K06772
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 啓介 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (80631431)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経化学 / 細胞内情報伝達 / シグナル解析 / 細胞種特異的 / アデノ随伴ウイルス / ドーパミン / Rho / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドーパミンはドーパミンD1受容体、三量体Gタンパク質Gαsを介してアデニル酸シクラーゼ、cAMP、PKA経路を活性化する。一方、ドーパミンD2受容体、三量体Gタンパク質Gαiを介してアデニル酸シクラーゼ、cAMP、PKA経路を不活性化する。平成27年度から平成28年度には脳側坐核におけるドーパミンD1受容体発現中型有棘神経細胞(D1R-MSN)について細胞種特異的な細胞内シグナル解析を行い、快情動に伴いドーパミンが分泌された際、PKA、Rap1、MAPKシグナルが神経細胞の興奮性を促進することを見出し、これらの知見について論文報告(Nagai et al. Neuron, 2016)を行っている。 平成29年度は、ドーパミンD2受容体発現中型有棘神経細胞(D2R-MSN)について、細胞種特異的にmVenus蛍光蛋白質を発現するDrd2-mVenus Tgマウスを用い、D2R-MSN細胞種特異的な細胞内シグナル解析を完了した。D2R-MSNにおいてアデノシンがアデニル酸シクラーゼを活性化し、ドーパミンがアデニル酸シクラーゼを抑制しており、ドーパミンの分泌が低下し抑制が解除されることでD2R-MSNにおけるPKA、Rap1、MAPKシグナルが活性化することを見出し、現在論文投稿中である。 D2R-MSN特異的にCreを発現するAdora2a-Cre Tgマウスについて繁殖を行い、ドーパミンと忌避行動に関する細胞種特異的な細胞内シグナルの解析を開始した。 RhoAはRhoキナーゼ(Rock1, Rock2)を介しアクチン細胞骨格を制御することで細胞の形態を変化させる。平成28年度に入手したRock1およびRock2のコンディショナルノックアウトマウスについて繁殖・交配を行い、Rock1, Rock2のダブルコンディショナルノックアウトマウスを作製し解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
D2R-mVenus Tgマウスを用い、D2R-MSNにおける神経細胞種特異的な細胞内シグナル解析を行い、D2R-MSNにおいても、D1R-MSN同様、PKA、Rap1、MAPKシグナルが活性化していることを見出し、現在論文投稿中である。 Adora2a-Cre Tgマウスを用い、ドーパミンと忌避行動に関する細胞種特異的な細胞内シグナルの解析を行っている。 Rhoキナーゼダブルコンディショナルノックアウトマウスを作製しており、神経細胞の細胞種特異的な形態制御に関する解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
D2R-mVenus Tgマウスを用いた細胞内シグナル解析については、論文発表を行う。Adora2a-Cre Tgマウスを用いた忌避行動と、Rhoキナーゼダブルコンディショナルノックアウトマウスを用いた神経細胞の細胞種特異的な形態制御については、さらなる解析を進める。
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Causes of Carryover |
(理由) 細胞種特異的な細胞内シグナル解析のために作製したマウスについて、実験終了後に凍結精子・凍結受精卵を作製し保管する予定であった。実験終了に合わせて大学内の実験動物部門に保管作業を依頼したところ、平成29年度内の作業予定がすでに埋まっており、年度内の作業完了が不可能であったため、凍結精子・凍結受精卵の作製を次年度に延期する必要が生じた。 (使用計画) 現在作成中の論文について発表を行うとともに、作製したマウスの保管作業を行う。
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Research Products
(2 results)