2015 Fiscal Year Research-status Report
変異KRASが制御する微小環境と発癌分子機構の解明
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15K06847
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
角田 俊之 福岡大学, 医学部, 准教授 (70444817)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | KRAS / 3次元培養 / 化合物スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞には、それ自身が微小環境を構築する能力を有しており、細胞塊(スフェロイド)はマトリックス成分がない浮遊培養でも自らでマトリックス成分を産生し、微小環境を構築している。近年我々は変異KRAS陽性癌細胞は独自の癌微小環境を構築していることを突き止めた。本研究では、変異KRASカスケードが発現制御する微小環境、及び、癌分子機構をシングルセルレベルで解明し、微小環境の構築を阻害する物質の同定により、新たな癌治療法への基盤を構築することを目的とした。H27年度はすでに構築した3次元浮遊培養システムを用いて変異KRAS特異的にスフェロイドの縮小をきたす天然物由来化合物のスクリーニングを行った。3次元浮遊培養を用いることで、より簡便に変異KRASが制御する微小環境への効果を阻害する薬剤が定量的に選別可能である。実際にはすでに作製しているHKe3-wtKRASおよびHKe3-mtKRASを使用し、600 cell/wellずつ、丸底非接着性96 well dishに播種し、理研より先行取得している約400種の天然化合物パイロットライブラリーの阻害効果を検討した。具体的には培養3日目,6日目に1 wellにひとつ形成された細胞隗の画像をIn cell analyzerで取得し、断面積を計測した。一次スクリーニングではHKe3-mt KRASを、二次スクリーニングでは、毒性の有無を正常クリプト様の構造をなすHKe3-wtKRASにて変化がないことを条件に取り込むことで、副作用が少ないと期待できるヒット化合物の選別が可能であった。また、正常細胞形態の抑制や維持に関与する、PDE4やALPK2に変異導入し安定発現細胞を樹立し、現在機能解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理研より取得した約400種の天然化合物由来のコアライブラリーより10個のコア化合物が取得され、さらにこれらの派生化合物117個のスクリーニングを施行中であり、少なくとも20前後の化合物の取得が予定されている。また。変異KRASが制御する個々の分子に関してもグラスゴー大学やロシアブロヒン癌センターとの国際共同研究を通して機能解析や制御化合物の探索を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初これらの化合物はマウスでのスクリーニングへ移行する予定であったが、大量の化合物取得のためには更なる予算が必要になることより、3次元浮遊培養第3日目より低濃度の化合物を長期間培養できるシステムを新たに樹立し、海外共同研究によるヌードマウスにおける効果、毒性判定との比較では、ある程度の互換性が認められた。よってこの改変システムによりさらに安全性の高い変異KRASを持つ癌にのみ効果のある薬剤の選別が可能になる可能性がある。
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Remarks |
George Billie教授の打診によりButterfield Awardsに応募しAccumulation of novel information cncerning the cell signalling pathways underpinning colorectal cancer, as well as possible new treatmentsの研究題名で採択された。
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Research Products
(10 results)