2017 Fiscal Year Research-status Report
ヒトパピローマウイルス感染と発がん ―臓器横断的解析ー
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15K06862
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
古田 玲子 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10260077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 由紀子 公益財団法人がん研究会, 有明病院 病理部, 医員 (30365712)
利安 隆史 公益財団法人がん研究会, 有明病院 放射線治療部, 副医長 (10533101)
新橋 渉 公益財団法人がん研究会, 有明病院 頭頸科, 副医長 (00424846)
服部 学 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (60276186)
西村 由香里 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (30361017)
石川 雄一 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 部長 (80222975)
北川 知行 公益財団法人がん研究会, がん研究所, 名誉所長 (50085619)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | HPV / 発がん / 中咽頭がん / 頭頸部がん / 眼腫瘍 / 治療感受性 / ECAC / p16 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸部病変の病理組織診断は、これまでの扁平上皮内病変の 3 段階診断が、2017年 7 月発刊の子宮頸癌取扱い規約第 4 版で、扁平上皮内病変 (Squamous intraepithelial lesion:SIL) Low-grade (軽度異形成) と High-grade (中等度異形成~上皮内癌) の 2 段階分類となった。診断の一致率は向上する反面、過剰診断・治療が危惧される。判定基準の曖昧な異型未熟扁平上皮化生や萎縮扁平上皮異型病変にもHPVが関与しているが、高リスク型のHPV感染病変および進行する病変の特徴を踏まえた診断が望まれる。長期経過観察結果からは、高リスク型 HPV 病変に特異的に出現する傍中心体異所性染色体 (Ectopic chromosome around centrosome:ECAC) と核分裂像数が、進行リスクの高い病変の良い指標になることを検証しつつある。浸潤癌では、神経内分泌癌が腺癌より更に18 型の検出率で高いことを明らかにした。 中咽頭癌は、HPV関連がんは、非関連がんよりも治療感受性が良いことが、我々の研究および国内外から報告され、現在ではHPV関連がんのバイオマーカーであるp16免疫染色が病理組織診断に取入れられるようになった。119例の解析では、62%がHPV関連がんで、男性のHPV関連がんの平均年齢は58歳で非関連がんよりも7歳若かった。また男性の非喫煙者の扁平上皮がんは全てHPV関連がんであった。 眼とその近傍部原発の扁平上皮がん24例を解析した。HPV関連がんは、約20%で全てにECACを認めた。眼科領域のがんは稀少ではあるが、HPV関連がんの治療感受性が中咽頭がんと同様に高いことが予測される。強度変調放射線治療(IMRT)と化学療法で、眼の機能温存・QOLの向上を目指すために、HPV関連がんの判別が重要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年(平成27年)度の科学研究費助成事業の追加採択分として、2015年(平成27年)10月21日付で交付内定通知をいただき、また研究代表者(古田玲子)が2015年(平成27年)9月1日に公益財団法人がん研究会がん研究所病理部から北里大学医療衛生学部に異動したため、研究体制を整えて実際に研究を開始したのが2016年(平成28年)度の中旬となった関係で、最終年の2017年(平成29年)度までの実質研期間が2年足らずとなり、研究を遂行するための期間延長が必要となりました。 現在、計画通り研究が進んでおり1年延長で研究成果が得られる見込みです。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトパピローマウイルス感染と発がん ー臓器横断的解析ー という課題に即して、新たに眼腫瘍および周辺部位のHPV関連がんの解析を昨年度より開始し解析中である。また、これまでの119症例の頭頸部がん(中咽頭がん)の解析に加え、HPV関連がんの年次的推移をみるため、手術検体の多数例をを用いたTissue Microarray(TMA)での解析を施行するが、先ずは、TMAの結果の精度をみるために、固定条件の良い生検と手術が施行された同症例のパラフインブロックおよびTMAとの結果の相関性を、HPVプローブによるISH法、免疫組織化学(HPV陽性がんのバイオマーカーであるp16とHPV非関連がんで陽性率の高いp53など)で検索している。現在、がん部をmicronizationしDNAを抽出して、IHCでのp53陽性例と遺伝子変異解析結果の照合も施行中である。分担研究者である臨床医との連携により治療感受性、予後との関連性についても詳細に検討している。2018年(平成30年)度末までには研究をまとめ、その成果を学会で報告し、論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
2015年(平成27年)度の科学研究費助成事業の追加採択分として、2015年(平成27年)10月21日付で交付内定通知をいただき、また研究代表者(古田玲子)が2015年(平成27年)9月1日に公益財団法人がん研究会がん研究所病理部から北里大学医療衛生学部に異動したため、研究体制を整えて実際に研究を開始したのが2016年(平成28年)度の中旬になりました。よって、最終年度までの実質研期間が2年足らずでしたので、研究期間延長が必要となりました。従いまして1年遅延した分の繰越金が生じておりますが、計画通り研究は進んでおり、2018年(平成30年)度は、物品費(試薬購入)、学会発表(旅費)、および論文作成費(その他)として適宜、研究費を使用いたします。
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Research Products
(30 results)